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2015年12月21日 (月) 20:27時点における版
女性専用車両(じょせいせんようしゃりょう)は、公共交通機関において、原則として女性だけが利用できるようになっている車両である。
ただし現在の日本の鉄道の女性専用車両はこの定義に該当せず、国土交通省では「鉄道事業者において、輸送サービスの一環として導入された女性等に配慮した鉄道車両」と定義している。
概要
1900年代
日本における女性専用車両は、1912年(明治45年)1月31日に東京の中央線で朝夕の通勤・通学ラッシュ時間帯に登場した「婦人専用電車」が最初とされている。この「婦人専用電車」は、男性と女性が一緒の車両に乗るのは好ましくないという当時の国民性を反映して導入されたものの、短期間で廃止された。関西地方では1920年(大正8年)10月、大戦景気の余韻を買って神戸市電が買い物客を誘致するために「御婦人専用電車」を運行した事があるが、この年で姿を消した。また、阪神急行電鉄(阪急)では1933年(昭和8年)の神戸女学院の神戸から西宮への移転と同時に、女学生の風紀を守るためとして、今津線門戸厄神駅まで神戸から直通する神戸女学院貸切車(1両編成)が通学時間帯に一日に2本運行されたが、1937年(昭和12年)頃廃止された。
戦後の1947年(昭和22年)5月に、やはり中央線で「婦人子供専用車」が登場し、同年9月からは京浜東北線にも連結された。この「婦人子供専用車」は、当時の乗車率が300%にも及ぶ過密状態であったため、殺人的通勤ラッシュから子供と労働女性(OL)を守る目的、ラブレターの受け渡し禁止の目的も合わせて導入された。しかし、京浜東北線の「婦人子供専用車」は短期間で廃止され、中央線では朝の通勤・通学ラッシュ時間帯での運行が継続されていたものの、1973年(昭和48年)9月15日(当時の敬老の日)より導入された「シルバーシート」(優先席)と入れ替わる形で前日の14日をもって廃止された。なお、中央線と京浜東北線には進駐軍関係者のための専用車を格下げして「老幼専用車」が1957年(昭和32年)6月より設定された事があるが、中央線は1958年(昭和33年)11月、京浜東北線は1961年(昭和36年)11月に廃止されている。
時代が下り、1980年代末には大阪で痴漢を咎めた女性が逆に性犯罪の被害者となる事件があり、それを機会に結成された団体などが性犯罪防止を鉄道各社に訴えた事でアナウンスや啓発広告がなされるようになり、後年の女性専用車両導入の底流の一つともなっている。
2000年代
この頃になると、車内における迷惑行為や痴漢行為が社会問題として大きく取り上げられ、明瞭な犯罪として意識されるようになった。このような状況を背景に、女性が安心して乗車できる事を目的として女性専用を謳った車両が導入され始める事になる。輸送力の増強計画が進捗し、バブル経済の崩壊による都心回帰や少子化などによる利用者の減少も重なり、総じて混雑度が緩和されつつあった事も、鉄道事業者が同車両の導入に踏み切る事ができた理由の一つである。
2000年(平成12年)12月、京王電鉄京王線で平日深夜帯に新宿駅を発車する下りの臨時列車(急行・通勤快速)の最後部の車両に「女性専用車両」の名で試験的に導入した。そして、導入に対し肯定的な意見が多かったため、翌2001年(平成13年)3月のダイヤ改正で女性専用車両が本格導入となり、以後は他の鉄道事業者においても徐々に導入が広がり始める。国土交通省は2002年にアンケート調査と関西地方での試験運行を行い、その結果をまとめて導入推進の姿勢を強めた。以後、2005年(平成17年)頃までは導入が相次いだのは関西地方だった。
一方、首都圏では鉄道各社・警視庁・東京都が「駅構内・電車内等公共空間における反社会的行為等の防止に関する協議会」を2004年(平成16年)7月に組織し、検討作業を進めていた。しかし、混雑との兼ね合いなどから「大阪との混雑度の違い」をほのめかし導入に二の足を踏む事業者も見られた。一方、行政側は推進に積極的で、2005年1月には警視庁が女性専用車両導入の要請を行った。
国土交通省は「女性等に配慮した車両の導入促進に関する協議会」を鉄道局に設置し、同年3月7日に第1回の会合を開催し、同省より鉄道各社に設置の要請を行った。同月28日には第2回の会合を開き、第1回での要請を受けて各社が導入・拡充を決めた。これにより、2005年5月9日から多くの路線で新規導入と設定範囲の拡充が図られた。
法律・規則
女性専用車両の制度について、国土交通省は、「男性のお客様のご理解とご協力の下に成り立っているものであって、強制的に乗車を禁ずる法的根拠もなく、男性のお客様を排除するためのものではありません」としている。また、大阪市交通局、横浜市交通局及び札幌市交通局は男性の乗車を禁止する法的拘束力はなく、あくまで鉄道事業者が乗客に任意協力を求めているものであると述べている。鉄道事業者の多くでは、女性専用車両を男児及び身体障害者の男性も利用できるとしている。
鉄道営業法第34条では「制止ヲ肯セスシテ左ノ所為ヲ為シタル者ハ十円以下ノ科料ニ処ス」、同2号では「婦人ノ為ニ設ケタル待合室及車室等ニ男子妄ニ立入リタルトキ」とされている。国交省の見解に沿えば、この法律は現行の女性専用車両制度には適用されないこととなる。また、名古屋市では「名古屋市交通局は鉄道営業法34条2号の適用を考えていない」と報告書の中で述べている。
女性専用車両に対する意見
調査・統計
2000年代の女性専用車両導入に関連したアンケートで最も古いものは、京王電鉄が2000年に行ったものである。調査規模としては、2002年に行われた国土交通省の「拡大モデル調査」関係が最も大きく、専用車の試行や意見聴取も多用な手法が使われている。 2004年の公明党の調査によると、20代から30代までの女性の6割位が痴漢被害を受けているとのアンケートの結果が出ている。2005年の駅前探検倶楽部のアンケート調査によると、女性の9割、男性の6割、全体で78%が女性専用車両に賛成している。同年から2006年にかけての札幌市交通局の調査では、男性の65%、女性の35%、全体で56%が反対している。産経新聞社が2009年5月に行った調査によると、三分の二の人間が女性専用車両は痴漢対策に役立つと回答したものの、性差別と感じる意見や女性専用車両の存在が利用上の不便さを感じるという意見も約6割存在することが明らかとなった。他にも実施主体や調査方法・地域が異なる様々な調査が実施されている。
東京都の場合、警視庁生活安全部が総合対策資料として電車車両内における卑猥行為の統計を持っており、2000年度は1,854件を記録している。一方、電車の内外を問わずまとめられた卑猥行為の統計「迷惑防止条例違反の送致状況」では、2001年は2,057件である。また、東京都によると、2004年に都内の電車内において痴漢や盗撮行為が検挙された件数は、1996年の約3倍に相当する2,201件に増加しており、被害者の約半数が未成年者だとしている。
利便性
女性専用車両に隣接する車両が混み合うという不満が出されている路線や区間もある事から、男性を中心にして不満を感じているという意見が見られる。相模鉄道など編成の中央部に女性専用車両を配置している路線では、男性客の通過を遠慮するよう掲示しており、他の車両に移動する際に車外を回らないといけない場合がある。
路線ごとに車両位置や時間帯が異なる事で、女性専用車両の利用を望む女性客からも分かりづらいと批判される事がある。先頭又は最後尾が女性専用車両となる路線では、乗り換えの不便さや降車駅改札までの遠さを理由に乗車しない女性客もおり、比較的空いている事を期待して利用する回答がある。
女性専用車両を男児及び身体障害者の男性も利用できるとしている鉄道事業者が多いが、一部の事業者を除き、それを明示しない事や「女性専用」という名称のために、一般には認知度が低い。このため、男性視覚障害者が女性専用車両と知らずに足を踏み入れ、冷たい言葉を投げ掛けられる例が報告されており、視覚障害者が乗車車両を変更する訓練を行わなくてはならない場合もある。また、男児や身体障害者とその介助者が単独で乗車できない事業者、条件付きで男性の利用を認めている事業者もあるなど、鉄道事業者間で統一されていない。なお、2005年に週刊誌が行ったアンケート取材によると、性同一性障害者などの身体的には女性でない人の乗車については、回答のあった鉄道会社からはすべて「自己申告で乗車できる」との見解が示されている。
混雑
国土交通省の拡大モデル調査では、試験結果を受けて路線の状況や時間帯での運用方法についても議論が行われていたが、東急東横線などのように導入を行ったものの、混雑悪化などを理由として設定を縮小・変更したケースが存在する。
心理学者(多湖輝)によると、日本人で行った狭所への詰め込みの実験では、男性同士や女性同士よりも、男女混合で詰め込んだほうが密度をより高く詰め込めるという結果がある。しかし、混雑率は乗車位置や大型駅の構造などにより大きく変化し、「平均混雑率」だけで十分に把握できるものではない(詳細は定員#混雑率・乗車率を参照)ため、女性専用車両の設定は各社・各路線ごとに異なる。小田急電鉄は2006年、車内に分散乗車への啓発ポスターを掲示しており、その中で編成中の各車の混雑率の傾向が示され、車両により大きな開きがある事を伝えている。同社は、そのポスター内で最も混雑率が低くなると示す先頭車両を女性専用車両として指定している。混雑に関連して女性専用車両の導入は受け入れるものの、その位置指定の方法について考察した評論も存在する。
痴漢対策
痴漢行為の抑制を目的に導入された制度であるが、導入の前後で痴漢被害の件数に変化があったのかどうか、多くの鉄道事業者では数値を発表していない。発表された一部の路線では、御堂筋線や埼京線のように犯罪の減少が報告された路線もあるが、中央線快速や京王線のように導入後も痴漢被害の件数が増加しているケースも見受けられる。また、一部の列車種別の列車のみに導入した結果、未導入の列車で逆に痴漢被害が増加した例もある。車両の運用については拡大モデル調査でケース別に検討所見があり、導入に積極的な事業者でも試行錯誤が続いている事を認めている。一方、痴漢冤罪を問題視する団体が冤罪防止の観点から女性専用車両の導入を歓迎している事をマスコミの取材に対して表明し、フェミニズムの専門家(上野千鶴子)が「後ろ向きの解決策と指摘」するといった事例も見られる。
混雑とも関わる事だが、女性専用車両の導入はあくまで次善策に過ぎず、ラッシュ時の混雑緩和こそが根本的な痴漢対策だとする意見がある。一方で、混雑緩和には相応のコストを必要とするが、運賃の値上げや増便による沿線環境への影響などの社会的負担について、乗客や住民の同意が得られるかどうかの課題が解決されていない。このため、仮に女性専用車両を廃止した場合に代替となる痴漢対策を講じられない状況にある。警視庁では痴漢対策について「電車内では狭い空間に多くの人が密集するという場所的特殊性から発生が多くなっている」と述べ、痴漢と鉄道との関連性を説明している。時間帯別についてのみた所見もあり、京王電鉄によると、痴漢の発生率の最も高いのは朝ラッシュ時間帯で、深夜、夕方ラッシュ時、昼間時間帯の順となり、国土交通省の拡大モデル調査においてもラッシュ時を重視する所見が見られる。
また、痴漢被害を受けた際に恐怖心や大きなショック・不快感などを受ける女性や、同一人物から繰返し痴漢に遭う、集団痴漢などといったケース、咎めた側が返り討ちに遭うケースなどがあった。そのため、女性専用車両が「緊急避難場所」や「駆け込み寺」としての防衛的機能を果たしている事が挙げられる。例えば、国土交通省の拡大モデル調査報告書では、「痴漢被害の根本的解決策ではないが、痴漢被害を減らす効果は期待でき、痴漢の回避手段がなかった女性にとっては女性専用車両の利用は有効な痴漢被害防止策であるとの考えのもと実施した」、と述べている。女性専用車両がなかった時代、こうした被害者は心理的にも物理的にも安全な逃げ場がなく、導入による安心感も挙げられている。また、京王電鉄によれば、上記のように深夜は2番目に発生率が高いが、帰宅時間帯であるため、被害者が泣き寝入りするケースが多かったと言う。
マナー
アンケートなどにおける女性の意見の中には、「男性のにおい」を回避する事ができる、「男性の視線を気にせずにすむ」などの理由を挙げるものがある。これに対して女性のわがままであり、公共交通機関で男性を排除する理由にはならない、という批判がなされる(逆に「香水や化粧などのにおいが気になる」という意見もある)。また、著名人が女性専用車両内のモラルの低下を揶揄した事もある。
女性専用車両は比較的空いている事から、痴漢を避けるためではなく、単に座席確保を目的にした女性客が利用する場合もあるとの批判がある。
男性に対する差別的待遇
女性は女性専用車両で痴漢被害を防げるが、すべての女性客が女性専用車両に乗っている訳ではない以上、男性は痴漢冤罪を完全には防げない事や、男性だけが一方的に女性専用車両導入のデメリットを受ける事、男性が被害者になる性犯罪の対処策にはなっていない事などを挙げ、「男女平等の社会に反する(すなわち男性差別である)」と不公平感を訴える意見もあり、現に台湾では女性専用車が男性差別であるとされて3ヶ月で廃止になっている(後述)。このため、捜査方法の改善が模索され、テレビなどで周知される事もある。痴漢を行う男女平等が謳われる現代社会と女性専用車両との「かすかな違和感」と一部の男性の「陰湿」さの両方を指摘し「女性の隔離で一部男性のゆがんだ品性そのものが改まるとの保証はない」という女性の評論も存在する。
男性への性犯罪については、総じて頻度、立件数、推定される暗数の点で、女性への性犯罪と比較して著しく少ないと計測される研究がある。また、女性の性犯罪被害者数は暗数も大きいとする調査研究もある。
なお、女性専用車両に反対する者の中には非協力乗車会と称し抗議乗車を行う者もいる。抗議乗車とは、女性専用車両の存在に異議を唱えている者などが、その意思を鉄道会社や利用者にアピールするために女性専用車に乗車することである。
チャンネル桜で出演している、荒川区議会議員の小坂英二は、女性専用車両を男性差別と主張し、そして女性専用車両の効果がないと主張し、別の痴漢対策を講じるべきだとしている。
男性専用車両導入の要望
上記のような理由により、男性のみが利用できる車両、すなわち男性専用車両の導入が要求された例もある。
男性専用車両を求める発言をした著名人もいるが、女性専用車両には反対の立場をとりながらも、老人などより広い交通弱者のための専用車を求める意見もある。
『正論』2008年8月号など、男性専用車両の導入を求めて意見広告が掲載された出版物もある。
2009年6月24日に開催された西武ホールディングスの第4回定時株主総会では、痴漢および痴漢冤罪の防止を目的として、株主が西武鉄道に対して男性専用車両の導入を提案したが否決されている。 また、2011年9月の東京都議会における公営企業委員会ではでは、都営地下鉄での男性専用車両設置要望の議題が出された。
必要性に対する評価
2009年7月10日から15日にかけてアイシェアが男女543人(男性57.5%、女性42.5%)に対して実施したアンケートでは、「女性専用車両は必要だと思いますか?」という質問に対して全体の54.0%(男性49.5%、女性60.2%)が「必要だと思う」、全体の16.6%(男性23.1%、女性7.8%)が「必要だと思わない」と回答した。また同時に実施された、男性専用車両は必要と思うかどうかの質問に対しては、全体の40.3%(男性39.1%、女性42.0%)が「必要だと思う」、全体の23.8%(男性30.1%、女性15.2%)が「必要だと思わない」と回答した。
鉄道事業者の姿勢
東武鉄道のように要望の少なさを挙げたり、東京地下鉄のように混雑均等化の観点から導入に消極的な事業者が存在した。交通新聞に対してコメントした事業者の指摘した問題点としては、通勤客が乗降駅の階段に集中する朝ラッシュでは混雑の平準化が損なわれる事、保有編成が多く特定車両を専用車に指定しづらい事、相互直通運転を行っている路線での車両位置の調整が難しい事、などが挙げられていた。事業者の中では導入に積極的であった京王電鉄も、混雑の激しい事や単独実施の困難性から2005年の一斉拡充までは朝ラッシュなどでの設定を躊躇した旨を述べている。また、JR西日本は、京阪神の在来線(京阪神緩行線、大阪環状線など)に女性専用車両を導入したが、逆に、これらの線を雁行している列車で、女性専用車両の設定の無い列車(新快速、快速など)では、逆に痴漢被害が増加し、警察が導入を要望したものの、JR西日本は編成の多様性を理由に断ったという。また設定を縮小する事業者がある。
ステッカーの大きさも事業者によっては差が見られる。東京急行電鉄は貫通路の窓の周囲にもステッカーを複数枚貼付して強調している。京浜急行電鉄はホームに貼付するステッカーを他社に比べて小さいものを使用している。京成電鉄では車両のステッカーを女性専用車両を実施する時間帯に限り貼付し、終了したら外すという事を行っている(行商専用車と同様)。なお、京浜急行電鉄でも同様の措置をしている。
一方で、京王電鉄のように痴漢対策に積極的に取り組んでいる事をアピールする事業者もある。同社は「よくいただくご意見」に痴漢対策を挙げている。また、2005年に関東地方で拡充が行われた際には、長い経験により培ったノウハウがあるという理由で、同業他社から問い合わせが相次いだ。こうした事業者の場合、社会・環境報告書で女性専用車両の導入を記載している事がある。また、西武鉄道は事業者の中でいち早く女性専用車両限定の広告を企画し、テレビ番組とタイアップして痴漢撲滅のPR電車を運行した事がある。2007年6月の株主総会では痴漢冤罪防止の立場から一部株主が専用車以外の車両へ監視カメラの設置を提案したが、同社は百数十億のコストと混雑時の有効性への疑問を理由に拒否した。
各事業者の状況
導入期の概歴
特記が無い限り、実施対象は平日ダイヤである。
関東地区
前述した通り、京王電鉄の京王線においては2000年12月、夜間の一部列車において女性専用車両を試験的に導入させた後、翌2001年3月に本格的に導入された。実施対象列車は新宿駅を22時50分以降に発車する急行・通勤快速・快速である。また、長きにわたり痴漢発生率ワーストワンであったJR東日本の埼京線においても同年7月から平日深夜限定の下り(大宮方面行)で試験的に設定、後に本格導入に至った。2003年3月24日には平日始発から9時までの全列車において横浜市営地下鉄(現名称:横浜市営地下鉄ブルーライン)でも試験的に導入され、同年7月1日から本格導入された。横浜市交通局の発表によると、京王線と同じく肯定的な意見が多かったためとしている。首都圏の鉄道路線で平日朝ラッシュ時間帯に導入された事例は、横浜市営地下鉄が初めてである。
関東地区の鉄道路線において女性専用車両が設定されたのはこれら三路線だけであった上、深夜時間帯である平日23時以降に限定されていた。多くの事業者・路線では、混雑が隔たりが生じる恐れがあるなどの様々な見解から女性専用車両の運行時間や運行対象路線の拡大、新規導入の動きは無かった。
しかし、2004年12月に警視庁が首都圏の鉄道事業者に対し「女性専用車両の導入率が低い」とし、女性専用車両の導入を各鉄道事業者に要望書を提出した。さらに、公明党が率先して導入を求める署名運動を展開したこと、同時期に国土交通大臣を務めていた同党員である北側一雄も導入に積極的だったことなど、既に前項で述べたような経緯があり、首都圏においても急速に女性専用車両導入が進むことになる。
以下の概略は、特記が無い限り平日朝ラッシュ時間帯における導入である。
- 2005年
- 4月4日:JR埼京線、従来の実施時間帯に加えて朝ラッシュ時間帯の大崎方面行にも女性専用車両を追加。乗り入れ先であるりんかい線においても埼京線からの直通電車(新木場行)に導入した。
- 5月9日:多くの首都圏の鉄道路線に女性専用車両を一斉導入。新たに導入されたのは都営新宿線、西武鉄道(池袋線・新宿線)、 東京メトロ半蔵門線、東急田園都市線、東武鉄道(伊勢崎線・日光線・東上線)、小田急電鉄(小田原線・江ノ島線)、京急線、京成線、芝山鉄道線、相模鉄道である。このうち、相模鉄道は22時以降に横浜駅を発車する全列車においても導入された。京王線は従来の実施時間帯に加え、朝ラッシュ時間帯と夕刻の一部列車にも追加導入した。この際、下り線対象列車については実施区間が調布駅までに短縮された(従来は全区間)。
- 6月20日:東武野田線に導入。
- 7月25日:平日の終日にわたり東急東横線・みなとみらい線(両者は相互乗り入れ)の特急・通勤特急・急行に全区間導入。首都圏初の終日導入として話題になった。
- 9月1日:開業間もないつくばエクスプレス線に導入。朝ラッシュ時間帯は秋葉原方面行、夕方以降はつくば方面行で実施。
- 9月5日:前述したJR埼京線に次ぐ痴漢発生率第2位であるJR中央線快速電車の東京行に導入(厳密には再導入・前項参照)。これにより富士急行線・青梅線・五日市線・八高線の中央線快速直通電車にも導入された。
- 10月30日:東京メトロ有楽町線の新木場行に導入。これにより東武東上線および西武池袋線内実施列車のうち、有楽町線直通電車にも追加導入される。
- 12月5日:相模鉄道、夜間実施分の開始時間を22時から18時に繰り上げ。
- 2006年
- 3月27日:東京メトロ日比谷線・東武伊勢崎線各駅停車(両者は相互乗り入れ)に導入。なお、日比谷線のうち北千住方面行(東急東横線内からの直通を含む)については実施しておらず、北千住方面から東横線に乗り入れる列車も中目黒駅到着をもって女性専用車両の運用を終了する。また、日比谷線に乗り入れない伊勢崎線浅草方面行の各駅停車も対象外である。
- 5月15日:JR常磐線各駅停車上り線・東京メトロ千代田線上下線・小田急線の千代田線直通電車(これらの路線は相互乗り入れ)に導入。
- 7月18日:東急東横線・みなとみらい線、問題が生じたため昼間の女性専用車両を取り止め(終日設定廃止)ならびに設定車両の変更を実施。
- 11月20日:JR総武線各駅停車上り線(御茶ノ水駅まで)・東京メトロ東西線中野方面行・東葉高速鉄道線西船橋方面行(これらの路線は相互乗り入れ)に導入。なお、東西線のうちJR中央線各駅停車への直通電車は中野駅到着をもって終了となる。
- 11月29日:東京メトロ東西線、問題が生じたため設定区間を大手町駅までに縮小。
- 12月11日:都営新宿線、新宿方面行にも追加設定。相互直通運転を実施している京王新線内では実施されず、同線方面直通電車は新宿駅到着をもって設定が解除される。
- 2008年
2005年以降に関東地区で急速に普及した女性専用車両においては、小学生以下および身体の不自由な客と、これらの介助を行う客がいずれも男性の場合でも乗車を認める事となった。横浜市営地下鉄も男性客の単独乗車は認めていなかったが、2007年6月14日から認められるようになった。朝ラッシュ時間帯の混雑が激しい首都圏では、ほとんどの鉄道事業者において女性専用車両の設定位置を最前部、あるいは最後部に設ける傾向がある。
なお、前記した概略のうちJR中央線快速電車と小田急線は列車運用における都合により、一部の乗り入れ先における設定を廃止した。詳しくは実施路線一覧の項目内の「縮小・廃止」を参照のこと。
2008年3月30日に開業した横浜市営地下鉄グリーンラインは、車両数が少ないことやラッシュ時間でも痴漢が発生するほど混雑しないことから、女性専用車両は設けていない。
関西地区
関西地区では、京阪電気鉄道の京阪本線と阪急電鉄の京都本線において、国土交通省の実施した女性専用車両路線拡大モデル調査の対象路線として2002年10月1日からの試行期間を経た上で、同年12月2日より導入された。京阪電鉄では朝ラッシュ時の京都→大阪方面行特急の最後部車両で(その後、女性専用車両導入列車を朝間のK特急に変更し、大阪→京都方面列車の先頭車両にも拡大)、阪急電鉄では京都本線で2ドア車(6300系)を使用する通勤特急・特急の1両を平日のみ終日女性専用車両に設定した。さらに、2008年7月より9300系にも拡大された。
2003年を境に、西日本旅客鉄道(JR西日本)やほとんどの大手私鉄・市営地下鉄で、朝ラッシュ時の導入が急速に進んだ。このため、関西圏では女性専用車両の普及度が高い。JR西日本と大阪市営地下鉄御堂筋線と神戸市営地下鉄のように終日にわたり設定されている路線も存在し、中でもJR西日本と神戸市営地下鉄の場合「土曜・休日も含め終日指定」となっている(沿線でプロ野球などのイベントのある場合に限り解除)。JR西日本では2011年4月18日より女性専用車両を全日・終日化を実施した(女性の他に小学6年生以下の男児と身体障害者の男性の単独乗車に加え、その介助者が男性の場合でも乗車を認めるようになった)。
一方、阪急神戸線・宝塚線、近鉄南大阪線、泉北高速鉄道などのように一切女性専用車両が設定されていない路線もある。JR西日本でも221系・223系などの近郊形を充当する列車には設定を行っていない。これは、路線によっては列車の分割・併合があったり、直通運転で別の事業者などの車両が運行されているケースもあり、1社・局のみでの調整が困難な場合もある事も原因となっている。
京阪電鉄と阪急電鉄は女性専用車両の設定開始時から、女性の他に小学6年生以下の男児と身体障害者の男性の単独乗車に加え、その介助者が男性の場合でも乗車を認めるようになった。
2011年現在、関西の大手私鉄全社において女性専用車両の設定を行っている。
しかし、京阪神地区では、京阪神緩行線に女性専用車両を導入したものの、逆に痴漢が新快速や快速に流れ込む結果となっている。
名古屋地区
名古屋地区の名古屋鉄道では、弱冷房車を設置しているため、車両の運用の都合上女性専用車両を設けておらず、東海旅客鉄道(JR東海)も設置していない。関西方面で女性専用車両を設置している近畿日本鉄道も名古屋発着の列車には女性専用車両は設置していない。従って、唯一導入しているのは名古屋~栄間で混雑が激しい名古屋市営地下鉄東山線のみとなっている。
福岡地区
西日本鉄道が朝ラッシュ時の混雑の激しい天神大牟田線の特急・急行で女性専用車両を導入している。2003年5月26日より試行導入ののち、利用者に対しアンケート調査を行い、同年11月4日に正式導入となった。なお、同線の女性専用車両は弱冷房車でもある。一方、JR九州ならびに福岡市地下鉄では導入の予定は無い。
北海道地区
2009年1月の時点で、札幌市の札幌市営地下鉄南北線において女性専用車両が導入されている。
2007年9月の傷害事件発生後、女性専用車両導入の要望書が提出され、2008年8月18日から9月12日までの間、南北線で女性専用車両の導入実験が行われた。その後、同年12月15日から同線で「女性とこどもの安心車両」という名称で正式に導入される事になった。この際、名称変更された理由は、女性以外の乗車対象者が利用しずらいと感じる恐れがあるからだとしている。但し、あくまでも任意によるものであり、法的拘束力は無いことを明確に示しているため、男性の乗車を拒否される事はない。2009年7月13日には東西線にも導入された(南北線と時期がずれている理由は2009年3月3日までのホームドア全駅設置・4月1日のワンマン運転開始)。
設定車両での取り組み
女性専用車両を他の車両と見分けやすくするために、設定車両のみをラッピング広告等の車体広告車としているケースが多々ある。
- JR東日本ではかつて、中央線快速や埼京線・川越線で車体広告を実施しており、西武鉄道でも同様に実施していた。
- 小田急電鉄ではかつて、設定車両のドア注意ステッカーを丸型から長方形に変更し、その上部に広告ステッカーを貼付していた。
- 東京急行電鉄では、東横線9000系の一部編成において2006年7月14日まで設定車両(当時は8号車)の車体にTBSのドラマ広告がラッピングされていた。
- 大阪市交通局では、御堂筋線の新20系(21系)全編成と10系の設定車両(6号車)にキユーピー、労働者派遣事業者、無料求人情報誌などのラッピング広告が施されている(全車両にラッピング広告が施された1編成を除く)。また、2008年1月1日より女性専用車両の座席に広告を付けた車両も登場した。対して、同線と相互乗り入れを行っている北大阪急行電鉄の車両にはラッピング広告は一切施されていない。
- JR東日本は女性専用車両の中づり広告を独占的に利用できる「中づり貸し切り」の販売を2008年度から行っている。
広告の他にも、女性専用車両で以下のような特別な取り組みもあった。
- 奈良小1女児殺害事件に前後して、近畿日本鉄道が女性専用車両内で新作映画の宣伝を兼ねて、防犯ブザーの無料配布を行った。
- JR東日本の中央線快速・青梅線・五日市線に導入されているE233系は、女性専用車両内及び他の車両の優先席のみ他系列よりも網棚やつり革の高さが低い設計になっている。
実施路線一覧
鉄道
- テンプレート:駅番号 毎日、終日にわたり実施
- テンプレート:駅番号 平日、終日にわたり実施
- テンプレート:駅番号 平日、朝ラッシュのみ実施
- テンプレート:駅番号 平日夕方及び夜間のみ実施
- □:その他(一部時間帯のみ、もしくは複数の時間帯)
事業者名 | 路線名 | 時間帯 | 使用列車 | 設定車両 |
---|---|---|---|---|
札幌市交通局 (札幌市営地下鉄) |
南北線 | 平日始発~9時 | 全列車 | 真駒内寄り先頭車両(3000形,5000形共に1号車) |
東西線 | 平日始発~9時 | 全列車 | 4号車 | |
東日本旅客鉄道 | 埼京線・川越線 | 平日新宿駅を7時30分~9時30分に到着する列車 | 上り全列車(東京臨海高速鉄道りんかい線への直通列車を含む) | 新宿寄り先頭車両(10号車) |
平日新宿駅を23時以降に発車する列車 | 下り全列車 | |||
中央線快速(大月駅→東京駅)・青梅線(青梅駅→立川駅)・五日市線 | 平日新宿駅を7時30分~9時30分に到着する列車 | 上り快速・通勤特快 | 東京寄り先頭車両(1号車) | |
常磐線各駅停車(取手駅→綾瀬駅) | 平日綾瀬駅を7時10分~9時30分に発車する東京メトロ千代田線直通電車(千代田線内は代々木上原駅まで、9時30分で一斉終了) | 上り全列車 | 代々木上原寄り先頭車両(1号車) | |
総武線各駅停車(千葉駅→御茶ノ水駅) | 平日錦糸町駅を7時20分~9時20分に発車する列車と東京メトロ東西線直通列車 | 西行全列車 ※御茶ノ水から先の中央線各駅停車では実施せず。東京メトロ東西線直通は大手町駅までの実施で9時で一斉終了。 |
御茶ノ水寄り先頭車両(10号車) | |
京王電鉄 ※ |
京王線・京王新線・高尾線・相模原線 | 平日新宿駅・新線新宿駅を7時30分~9時30分に到着する列車 | 上り準特急・急行・通勤快速 | 新宿・新線新宿寄り先頭車両(10号車) |
京王線(新宿駅→調布駅) | 平日新宿駅を18時以降に発車する列車 | 下り特急・準特急 | ||
平日新宿駅を22時50分以降に発車する列車 | 下り急行・通勤快速・快速 | |||
東京都交通局(都営地下鉄) ※ |
新宿線 | 東行:平日新宿駅を7時30分~9時30分に発車する列車 西行:平日本八幡駅を7時15分~9時に発車する列車 |
東行:京王線笹塚より西から京王新線経由で都営新宿線に直通する10両編成列車(9本) 西行:全列車(新宿以西の京王線内では実施なし) |
東行:本八幡寄り先頭車両(10号車) 西行:新宿寄り先頭車両(1号車) |
東京地下鉄(東京メトロ) ※ |
半蔵門線 | 平日始発~9時30分(9時30分で一斉終了) | 全列車 | 進行方向の最後尾車両(A線:10号車・B線:1号車) |
有楽町線 | 平日和光市駅を7時07分以降、小竹向原駅を7時20分以降に発着する列車(9時20分で一斉終了) | A線(新木場方面)列車のみ | ||
日比谷線 | 平日北千住駅を7時30分~9時に発車する電車(9時で一斉終了) | 中目黒方面行のみで東急東横線直通列車も中目黒駅で終了 | 進行方向の最後部車両(8号車)※東急1000系の場合は1号車と表示 | |
千代田線 | 平日綾瀬駅・代々木上原駅を7時10分~9時30分に発車する電車(小田急線・常磐線からの直通電車は当該線内も含む、ともに9時30分で一斉終了) | 全列車 ※小田急線直通列車は代々木上原駅で、常磐線各駅停車直通列車は綾瀬駅で終了。 |
代々木上原寄り先頭車両(1号車) | |
東西線 (西船橋駅→大手町駅) |
平日西船橋駅(妙典駅始発を含む)を6時57分~8時57分に発車する電車(総武線各駅停車・東葉高速線からの直通電車は当該線内も含む、ともに9時00分で一斉終了) | 中野方面に発車する全列車 ※大手町駅まで(大手町~中野間及び中央線各駅停車中野~三鷹間は未実施) |
中野方先頭車両(10号車) | |
副都心線 | 平日和光市駅を7時6分以降、小竹向原駅を7時20分以降に発着する全列車(9時20分で一斉終了) | 渋谷行の列車のみ実施 | 進行方向の最後部車両(1号車) | |
東葉高速鉄道 ※ |
東葉高速線 | 平日6時37分~9時00分(9時00分で一斉終了) | 中野方面に発車する全列車 ※東京メトロ東西線大手町駅まで(大手町~中野間および中央線各駅停車中野~三鷹間は未実施) |
西船橋方先頭車両(10号車) |
東武鉄道 ※ |
伊勢崎線(館林駅→北千住駅間) | 平日北千住駅に7時30分~9時に到着する列車 | 上り区間急行 | 進行方向の最後尾車両(1号車) |
伊勢崎線・日光線(久喜駅・南栗橋駅→押上駅→渋谷駅 東京メトロ半蔵門線直通列車) | 平日押上駅に7時30分~9時20分に到着する列車 | 上り急行・準急 | ||
東上線(小川町駅→池袋駅) | 平日池袋駅に7時30分~9時32分に到着する列車 | 上り急行・通勤急行・準急及び東京メトロ有楽町線・副都心線直通列車 | 小川町寄り先頭車両(1号車) | |
野田線 | 平日始発~9時 | 全列車 | 柏寄りの先頭車両(6号車) | |
伊勢崎線(東武動物公園駅→北千住駅→中目黒間 東京メトロ日比谷線直通列車) | 平日北千住駅を7時30分~9時に到着する列車 | 東京メトロ日比谷線直通列車 | 進行方向の最後部車両(8号車) | |
西武鉄道 ※ |
池袋線(飯能駅→池袋駅)・西武有楽町線 | 平日池袋駅・西武新宿駅を7時20分~9時20分に到着する列車 | 上り快速急行・急行・快速・準急・通勤急行・通勤準急と東京メトロ有楽町線・副都心線直通列車 | 進行方向最後尾車両(1号車) |
新宿線・拝島線・多摩湖線(本川越駅・西武遊園地駅→西武新宿駅) | 上り急行・通勤急行・準急 | 西武新宿方先頭車両(1号車) | ||
京成電鉄・芝山鉄道 ※ |
本線・東成田線・芝山鉄道線(芝山千代田駅→東成田駅→京成成田駅→京成上野駅) | 朝ラッシュ時間帯 | 京成上野行通勤特急 | 進行方向の最後尾車両(1号車) |
小田急電鉄 ※ |
小田原線・江ノ島線・多摩線(小田原・藤沢・唐木田~代々木上原・新宿間) | 平日新宿駅を7時30分~9時30分に到着する列車及び代々木上原駅を7時10分~9時30分に到着・発車する東京メトロ千代田線直通列車 | 上り快速急行・急行・準急(東京メトロ千代田線内は綾瀬駅まで実施、9時30分で一斉終了) | 進行方向の最後尾車両(1号車) |
東京急行電鉄・横浜高速鉄道 ※ |
東横線・みなとみらい線 | 平日始発~10時(10時で一斉終了) | 特急・通勤特急・急行 | 渋谷寄り先頭から5両目の車両(5号車) |
平日渋谷駅を17時以降に発車する列車 | 下り特急・通勤特急・急行 | |||
田園都市線 | 平日始発~9時30分 | 上り全列車 | 進行方向の最後尾車両(10号車) | |
首都圏新都市鉄道 | つくばエクスプレス線 | 平日初電~9時 | 上り全列車 | つくば寄り先頭車両(1号車) |
平日秋葉原駅を18時以降に発車する列車 | 下り全列車 | |||
東京臨海高速鉄道 | りんかい線 | 平日大崎駅を7時46分~9時41分に発車する列車 | 上り全列車(JR埼京線からの直通列車を含む) | 新木場寄り先頭車両(10号車) |
平日新木場駅を22時34分以降に発車する列車 | 下り全列車(JR埼京線への直通列車を含む) | |||
相模鉄道※ | 本線・いずみ野線 | 平日横浜駅を7時~9時30分に到着する列車 | 上り全列車 | 横浜から4両目の車両(4号車) |
平日横浜駅を18時以降に発車する列車 | 下り全列車 | |||
京浜急行電鉄 ※ |
本線(浦賀駅→品川駅)・久里浜線 | 平日横浜駅を7時30分~8時30分に到着する列車 | 品川行き快特(金沢文庫まで特急) | 品川寄り先頭車両 |
横浜市交通局 (横浜市営地下鉄) |
ブルーライン | 平日始発~9時 | 全列車 | 湘南台寄り先頭から4両目の車両(4号車) |
名古屋市交通局 (名古屋市営地下鉄) |
東山線 | 平日始発~9時 | 全列車 | 藤が丘寄り先頭から4両目の車両(4号車) |
平日17時~21時 | ||||
西日本旅客鉄道 | 大阪環状線 | 毎日終日 | 環状運転普通列車 | 103系・201系(オレンジ色)8両編成で内回り方向先頭から4両目の車両(4号車) |
片町線(学研都市線)・JR東西線 | 普通・区間快速・快速 | 使用車両:以下の4扉・7両の通勤形電車で大阪駅・北新地駅基準で尼崎寄り先頭から5両目の車両(5号車) 207系・321系・205系(ただし205系は東西線と片町線には乗り入れない) | ||
東海道本線・山陽本線(JR京都線・JR神戸線・琵琶湖線)・湖西線(野洲駅・堅田駅~加古川駅) | 普通 | |||
福知山線(JR宝塚線)(尼崎駅~篠山口駅) | 普通・快速 | |||
阪和線 | 普通・区間快速・快速 | 使用車両:103系(水色)6両編成で和歌山寄り先頭から3両目の車両(4号車) | ||
関西本線(大和路線)・和歌山線(JR難波駅~奈良駅・高田駅) | 普通・区間快速・快速 | 使用車両:103系・201系(黄緑色)6両編成で天王寺駅・放出駅基準で久宝寺・奈良・高田寄り先頭から3両目の車両(4号車) | ||
おおさか東線 | 普通 | |||
阪急電鉄 | 京都本線 | 平日終日 | 特急・通勤特急 | 9300系電車(3ドア・クロスシート)の梅田寄り先頭から5両目の車両(5号車) |
京阪電気鉄道 | 京阪本線・鴨東線 | 平日初電~始発駅9時15分頃に発車する列車 | 特急 | 出町柳寄り先頭車両 |
阪神電気鉄道 | 本線 | 平日青木駅を7時10分~8時18分に発車する列車 | 梅田行き区間特急 | 梅田寄り先頭から4両目の車両 |
近畿日本鉄道 | 奈良線 | 平日初電~9時30分頃まで大阪難波駅に到着する列車 | 近鉄奈良・大和西大寺発快速急行 | 10両編成の最後尾車両(大阪難波駅まで設定) |
南海電気鉄道 | 南海本線 | 平日7時20分~8時30分頃(天下茶屋駅基準) | 難波行き急行及び空港急行 | 4扉車・8両編成の難波寄り先頭から4両目の車両(但し天下茶屋~難波間は解除) |
高野線 | 林間田園都市・橋本始発の難波行き急行 | |||
大阪市交通局 (大阪市営地下鉄) |
御堂筋線 | 平日終日 | 全列車 | なかもず寄り先頭から6両目の車両(6号車) |
谷町線 | 平日初電~9時 | 全列車 | 八尾南寄り先頭から3両目の車両(3号車) | |
北大阪急行電鉄 | 南北線 | 平日終日 | 全列車 | 御堂筋線なかもず寄り先頭から6両目の車両(6号車) |
神戸市交通局 (神戸市営地下鉄) |
西神・山手線 | 毎日終日 | 全列車 | 6両編成 新神戸・谷上方面:先頭から3両目の車両 西神中央方面:先頭から4両目の車両 |
海岸線 | 三宮・花時計前寄り先頭車両 | |||
神戸電鉄 | 有馬線・三田線・粟生線・神戸高速線 | 早朝時間帯を除く平日 | 4両編成の列車 | 新開地方先頭から3両目の車両 |
北神急行電鉄 | 北神線 | 毎日終日 | 全列車 | 6両編成 谷上方面:先頭から3両目の車両 西神中央方面:先頭から4両目の車両 |
西日本鉄道 | 天神大牟田線 | 平日西鉄福岡(天神)駅を7時15分~9時19分に到着する列車 | 特急・快速急行・急行 | 西鉄福岡(天神)行きの最後尾車両 |
- ※は2005年5月9日より導入した事業者
- 補足
- 東武鉄道では2005年6月20日に野田線、同年10月30日に東上線のうち東京メトロ有楽町線直通列車、2008年6月16日に東京メトロ副都心線直通列車、2006年3月27日には伊勢崎線のうち東京メトロ日比谷線直通列車に追加導入した。また、夜行列車においても女性専用車両を追加導入している。
- 西武鉄道では、2005年10月30日に東京メトロ有楽町線直通列車、2008年6月16日に東京メトロ副都心線直通列車にも追加導入した。西武拝島線では一部電車が運用の都合上設定できない。
- 東京急行電鉄では、2005年7月25日から東横線に平日の特急・通勤特急・急行の8号車(横浜寄り先頭車両)に終日導入したが、翌2006年7月18日より設定内容を変更した。詳しくはこちらを参照。
- JR東日本では、2005年9月5日に中央線快速に、2006年5月15日に常磐線各駅停車に、同年11月20日に総武線各駅停車に追加導入した。なお、2007年3月16日をもって八高線及び青梅線の奥多摩~青梅間の中央線快速直通列車は設定を終了し、同月19日から五日市線の中央線快速直通列車に導入した。
- また、JR東日本は新潟支社においても、「らくらくトレイン長岡」及び「らくらくトレイン村上」において2004年3月13日より6両のうち1両を「レディースカー」として女性専用としている。夜行ではない座席定員制の列車としては珍しい取り組みである。
- 東京メトロでは、2005年10月30日に有楽町線、2006年3月27日に日比谷線、同年5月15日に千代田線に、同年11月20日に東西線に、2008年6月16日に副都心線に追加導入した。いずれの路線も設定位置が先頭車両又は最後部車両となっている。同社は構内の階段が前後にしかない場合が多く、日比谷線のように駅の前後において混雑が激しい事から導入以前より車両更新に伴って一部列車の前後2両を5扉車に変更しており、上述のように混雑平準化との兼ね合いを述べた事もある。
- 小田急電鉄の列車のうち、箱根登山線箱根湯本駅始発で該当時間に新宿駅に到着するものについては、風祭駅での旅客の乗降が2008年3月14日まで女性専用車両に設定される最後尾車両(1号車)でしかできなかった事から、同線内では女性専用の設定はなく、小田原駅からの小田急線内で女性専用車両としていた。
- 神戸市交通局(神戸市営地下鉄)海岸線では、編成が4両と短い上に終日設定で導入されているが、元々ラッシュ時でもそれほど混雑しないので最近は特に問題視されていない。但し、沿線でのイベント開催による混雑時には設定を解除しているため、その期間は痴漢対策効果がない。
- 2006年には、3月20日から東京臨海高速鉄道りんかい線において平日朝のラッシュ時のJR埼京線からの直通列車に加えて平日朝のラッシュ時の大崎駅折り返し列車及び平日深夜の下り列車にも導入、同月27日からは東京メトロ日比谷線並びに東武伊勢崎線からの直通列車にも新たに導入された。そして5月15日からは東京メトロ千代田線と常磐線各駅停車でも導入された他、小田急線でも千代田線直通の準急に追加導入した。同年11月20日からは総武線各駅停車(中央線御茶ノ水以西は未実施)と東京メトロ東西線・東葉高速鉄道東葉高速線に、翌12月11日からは都営新宿線の車両にも設定された。
縮小・廃止
- 女性専用車両を終日設定していた神戸電鉄は、2004年6月1日より早朝の設定を廃止した。列車が4両と短いうえ、乗り換えの利便性から女性専用車両には人があまり乗らず、他の車両の混雑が悪化したためである。
- 京王電鉄では、2005年5月の首都圏一斉導入時に夕方時間帯以降の下り列車での適用範囲を全区間から新宿駅→調布駅に縮小した(但し、この導入時に朝ラッシュ時の上り列車では全区間に設定しており、下りでも23時以降から17時以降になるなど、単純な意味での縮小とは異なる)。
- 東急東横線は、2005年7月25日から平日の特急・通勤特急・急行に終日導入していたが、菊名駅における問題や終日設定に批判があり、翌2006年7月18日から設定時間帯を平日始発~10時と渋谷駅を17時以降に発車する元町・中華街方面行に縮小し、合わせて設定車両も横浜寄り先頭車(8号車)から中程(5号車)に移動した。
- 東京メトロ東西線は、当初は朝のラッシュ時のB線(西船橋→中野方面)全線で女性専用車両を設定していたが、大手町駅での混雑による危険性から、2006年11月29日より同駅までの実施に短縮された。女性専用車両の隣の9号車付近は階段があり、ホームが非常に狭い上に多くの男性が9号車に乗ろうとするため大混雑し、係員・駅員含めて10人以上の人員を割き警備に当たる状態であった。
- 高松琴平電気鉄道では、2002年の一時期、実験的に女性専用車両を導入した。しかし、2両編成しかないにも拘らず導入したため、混雑に拍車がかかり、廃止された(2005年12月の週末の終電において期間限定で再導入したが、これも現在は運用していない)。
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)では、八高線(高麗川~拝島間)の新宿駅に7時30分~9時30分に到着する列車において女性専用車両を導入していた。2007年3月18日より従来の201系と編成の組み合わせが異なるE233系の乗り入れを開始し(201系は東京寄りから4両+6両に対し、E233系は6両+4両)、中央線で東京寄り1両目に導入されている女性専用車両が該当線区に乗り入れしなくなったため、このダイヤ改正をもって廃止された。また、青梅線では全線で八高線と同じ時間帯で女性専用車両を設定していたが、同日に八高線と同じ理由で奥多摩~青梅間の女性専用車両が廃止された。
- 富士急行では、大月線・河口湖線全線で平日の5:51と6:21に河口湖駅を発車する中央線快速直通東京行2本で女性専用車両を導入していた。2007年3月18日のJR東日本のダイヤ改正で富士急行に従来の201系と編成の組み合わせが異なるE233系の乗り入れが開始し(201系は東京寄りから4両+6両に対し、E233系は6両+4両)、中央線で東京寄り1両目に導入されている女性専用車両は富士急行内に乗り入れしなくなったため、このダイヤ改正をもって廃止された。
- 西日本旅客鉄道(JR西日本)の湖西線近江舞子~近江今津間では、平日早朝の上り列車1本のみが女性専用車両の設定対象の207系により運転されていたが、2006年3月18日のダイヤ改正で113系による運用に変更された。また、堅田~近江舞子間では現在も207系が運用されているが、女性専用車両の設定対象時間帯の運用はなく、結果として堅田~近江今津間では女性専用車両が廃止された事になる。
- 阪神電気鉄道では区間特急の運行区間短縮に伴い、三宮 - 青木間の設定を取りやめた。
路線バス
路線バスにも、以下のように「女性専用バス」が設定されている。
- 南国交通:鹿児島中央駅~(天文館~鹿児島駅~早馬~上花棚)~吉田インター前 ※金曜日の最終便のみ。2台運行で前の1台が女性専用車となる。
- ジェイ・アール北海道バス:「新13」系統(平日朝に新札幌駅行1本)・「新16」系統(同)・「55-1」系統(平日朝にJR札幌駅行き2本)において女性専用バスを運行している。車内に芳香剤と化粧直し用の鏡を数個設置。運転手は女性が勤める。女性専用バスの1~2分後に通常のバスが運行されるダイヤとなっている。
廃止
- 京都交通:現在の京阪京都交通の洛西バスターミナル~桂駅東口の路線で平日のみ運行していたが、会社更生法申請後に利用者が少ないなどの理由で廃止された(設定期間:2003年11月24日~2004年5月31日)。
- 九州産業交通:平日のみ並建~(交通センター~県庁~自衛隊)~健軍間および田崎車庫前~(交通センター~神水町)~健軍間に運行していたが、いずれも2006年11月30日限りで廃止された。
その他
女性専用席
- 特急「いしづち」:8000系3両編成の松山側先頭車の一部に設定。2005年3月1日に導入された。この女性専用席は、女性専用車両と異なり、女性の団体旅行客が快適に乗車できるようにしたものである。
- 特急「サンダーバード」「オーシャンアロー」「スーパーくろしお」「くろしお」:2007年10月1日より導入。背景としては、「サンダーバード」車内で発生した強姦事件がきっかけで設置された。ただし、海南→新大阪間の「スーパーくろしお」2号と新大阪→和歌山間の「オーシャンアロー」31号には設定されていない。2011年9月17日より平成23年台風第12号の影響により「オーシャンアロー」「スーパーくろしお」「くろしお」に設定している女性専用席は中止になったが、同年12月3日に再開した。
夜行列車
上記のような通勤列車の他に、夜行列車においても女性専用席・車両が設定されている。これは就寝中の安全とプライバシー確保に配慮したもので、「ゴロンとシート」を含む普通車指定席と開放式B寝台が対象となる。
1990年3月に寝台特急「あかつき」(現在は廃止)の「レガートシート」(普通車指定席)の一部が女性専用とされたのが始まりである。かつては寝台特急「ゆうづる」「はくつる」などに「レディースカー」と呼ばれるものもあった。
2009年6月現在、女性専用席・車両が設定されている夜行列車は以下の通り。
- 「はまなす」:一部の普通車指定席及びB寝台
- 「あけぼの」:普通車指定席(「ゴロンとシート」)…1両
- 「ムーンライトえちご」「能登」:普通車指定席…1両
- 「ドリームにちりん」:普通車指定席…1/2両(2号車A室部分に設定)
また、私鉄では唯一夜行列車を運行する東武鉄道の「尾瀬夜行」「スノーパル」にも設定されている。この2列車は全車両が座席指定制を採用している関係で、1両を女性専用車両に充当している。
高速バス
高速バスの中にも、主に夜行長距離バスにおいてこのような形態のバスを運行している路線がある。高速バスは通勤鉄道と違って行政側の意向があったという経緯がなく、上記の夜行列車などと同様に事業者がサービスと考えて提供している。
高速バスの場合、1車両当たりの定員が少ない事から、1台をそのまま女性専用車として運行される事もある。
- JRバス関東(西日本JRバスと共同運行):東京駅~大阪駅「レディースドリーム大阪号」・東京駅~京都駅「レディースドリーム京都号」・新宿駅~大阪駅「中央ドリーム大阪号」(女性専用シート)・新宿駅~京都駅「中央ドリーム京都号」(女性専用シート)・東京駅~水戸駅・常陸太田・勝田(昼行便)
- JR東海バス:東京~名古屋「レディースドリームなごや号」
- 京浜急行バス・弘南バス:品川~弘前・五所川原、横浜~弘前「ノクターン号」
- 西武バス・越後交通・新潟交通:新潟~東京(池袋)
以下は時期限定
- 小田急バス:東京(新宿)~秋田「フローラ号」(2001年7月20日~8月31日・12月25日~2002年1月7日)
- 一畑バス・中国JRバス:東京(渋谷)~松江・出雲(スサノオ号)/大阪(梅田)~松江・出雲「レディース専用バス」(ともに年末年始、GW、お盆などに運行、但し後者は昼行)
他
日本国外における女性専用車両
宗教的な意味合いによるもの
イスラム教やヒンズー教では男女の同席が忌避されるため、これらの宗教の信者の多い国では、戒律に基づき女性専用車両(男女別車両)を設定している例がある。
- パキスタンでは、カラチの鉄道に終日女性専用車両が設定されている。同国の国教ともいえるイスラム教の「男女同席せず」の戒律に基づいたものであり、女性専用車両にしか女性客は乗車しないため、他の車両は事実上「男性専用車両」となっている。また同様に同地の路線バスは車内に仕切りが設けられ、前半分が女性席、後ろ半分が男性席となっている。
- インドネシアでは、ジャボタベック(ジャカルタ首都圏)の通勤電車であるKRLジャボタベックにイスラム教の戒律に基づいて女性専用車両が設定されている。設定があるのは冷房付きで運賃が高い急行電車の8両編成の一番前と後ろの車両が女性専用車両となっている(2編成のみの存在で、他は無設定。)。
- イランでは、首都テヘランの地下鉄にイスラム教の戒律に基づいて女性専用車両が先頭と最後方のあわせて2両に終日設定されている。女性が女性専用車以外に乗車するのは自由。市内バスでは現在同国大統領のアフマディーネジャードがテヘラン市長の時に、男性が前、女性は後ろに分かれて乗車するように決めたという。
- エジプトのカイロ地下鉄では先頭1両目(時間帯により2両目も)に女性専用車両が設定されている。イスラム教の戒律に基づいて設定されているが、男性であっても男児なら女性専用車両に乗車できる点や、女性客が女性専用車両以外の車両に乗車していることがある。
- イスラエルでは、超正統派ユダヤ教徒の多い地区に、前半分は男性、後半分は女性に分けられたバスが運行されている。夫婦と子は一緒に座る事ができる。但し、バス路線全体からみればごく例外的な運用に留まっている。
その他の導入例
- 韓国の韓国鉄道公社 (KORAIL) 及びソウルメトロでは、10数年前から広域電鉄において朝の6時30分~9時に限り女性・老人・障害者専用車両が設置され、ソウルメトロは2008年から位置付けを明確化して全路線に導入している。しかし、ソウル鉄道公社が10の女性団体を対象にアンケート調査を実施したところ、賛成は2団体、反対4団体、返事留保2団体、未回答2団体との結果が得られた(回答は6団体のみが行ったが中央日報は賛成が少ない事を強調している)。反対の理由は、地下鉄性的暴行予防は、キャンペーンやPRなどの手段が必要で、女性専用車両で解決できる問題ではない事、一般車両に乗車する女性は、性犯罪の対象としても良いという歪曲された認識が生まれる事もあり得ることであった。これを受けて、鉄道公社は当初計画を見直し、改めて一般にもアンケートを行った上で結論を出す事とした。
- 台湾鉄路管理局では、2006年6月より台北市付近の電聯車(電車)に終日女性専用車両を設置した。しかし、男性差別であるなどの反対意見から約3ヶ月で廃止となった。
- フィリピンのマニラ・ライトレールでは女性専用車両が終日運行されている。プラットホーム上に女性専用車両である旨の案内板が設置されている。なお、フィリピンもイスラム教徒が多いが、首都・マニラがあるルソン島よりも南部のミンダナオ島に多く居住している。
- タイのバンコクの路線バスではラッシュ時に限り女性専用バスが運行されている。また、タイ国鉄は2002年からバンコク~チェンマイ間の寝台急行列車に女性専用車両を投入した。
- インドでは、女性の地位はいまだ低いが、女性を保護しようという動きが近年出てきており、ニューデリー、チェンナイなどの大都市の通勤電車に女性専用車両がある。「レディース・スペシャル」と呼ばれる女性専用列車も運行されている。また、同国にも後述のモスクワとロンドン同様に「女性専用タクシー」も登場した。車体の色がピンクに塗装され、車内に化粧品や芳香剤なども置かれ、運賃は普通のタクシーより割高になっている。運転手は女性が務めている。男性運転手を嫌がる女性客の要望により登場したものである。
- ロシアでは、長距離列車に酔客対策として「女性専用コンパートメント」がある。また、首都モスクワには2006年8月より前述のインドや後述のロンドンと同様に車体がピンクに塗られた女性専用タクシー「ローズタクシー」がある。インドやロンドンと同様に運転手は女性が務めている。インドやロンドンの場合と異なり、女性に同伴している男性(父親・夫・恋人・息子など)なら一緒に乗車できる。日本やイギリスの交通機関の女性専用サービスを見ての発案だと言う。
- ブラジルには、リオデジャネイロの通勤電車に車体の色がピンクで塗装された女性専用車両がある。サンパウロでは2005年、地下鉄に試験導入がなされた。同地では1990年代に女性専用車両を導入したものの、ラッシュ時に男性が乗車した事で定着には至らなかった。導入を進めた理由は、性的な嫌がらせへの対策であるが、以前の試みは同国の憲法に抵触する事が指摘され、乗客や従業員のモラルの低さもネックとなっている。
- イギリスでは、1995年から首都ロンドンに「会員制女性専用タクシー」がある。普通のタクシーと同じ車(いわゆるロンドンタクシー)を使用しているが、車体の色はピンク(普通のタクシーは黒色)で、女性が運転手を務めている。利用時は会員が電話で自宅や勤務先などに呼び出す。これは会員制なので、会員以外の女性は利用できず、駅や空港などでの客待ち営業や市中での流し営業も行わない。モスクワ・ロンドンともに無許可で営業しているタクシー(いわゆる白タクシー)に乗車した客が運転手に乱暴されたり、金品を奪われる事件が多発したのが登場したきっかけである。
政治との関連
公明党の積極姿勢
女性専用車両については、公明党HPに「公明党青年局と女性委員会が、急増する痴漢対策として今年(2005)2月から東京を中心に、早期導入を求める署名活動を精力的に展開。3月15日には北側一雄国土交通相(公明党)に会い、7万6000人分の署名簿を添えて要望するなど、世論の盛り上がりを喚起。これを追い風に、迅速な導入を強力に後押ししてきた。」とあるように公明党が女性専用車両の導入に関してかなり積極的な動いている。事実、一斉導入の数年前から公明党の国会議員、地方議員は議会で女性専用車両問題を取り上げており、平成16年9月に公明党の北側一雄が国土交通相に就任するとその翌年3月には「女性等に配慮した車両の導入促進に関する協議会」を発足、その協議会の第1回会合のわずか22日後には首都圏地区の鉄道各社で女性専用車両の一斉導入を表明するといった具合に終始一貫して公明党がかかわっている(なおこの様子は2005年3月28日には公明党機関紙である公明新聞で「女性専用車両、一気に開花!」との見出しで大々的に扱っている)。さらに、公明党は首都圏に止まらず、導入例の無い名古屋地区や九州などを中心とした地方私鉄にも女性専用車両の導入を要望した。札幌の際には女性への刺傷事件をも女性専用車両導入の動機づけとし、札幌市議会公明党と公明党道本部女性局が地下鉄に女性専用車両を導入するよう求める要望書「安全・安心な地下鉄と女性専用車両の導入に関する要望書」を直接上田文雄市長に手渡した。ここまで急速に女性専用車両の導入を公明党が推し進めていった背景は、選挙における女性票が目的だといったの意見も多数ある。
脚注
- ↑ 金~月曜と3月1日~4月6日・4月28日~5月5日・7月21日~8月31日・12月25日~1月7日に運行
関連項目
外部リンク
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