春日権現記
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(絹本著色春日権現験記絵から転送)
春日権現記(かすがごんげんき,Kasuga-taisha)は、奈良県奈良市の春日大社の創建の由来と祀られている神々のご利益と霊験を描く絵巻である。「春日権現験記絵」「春日権現霊験記」とも書かれる。
概要[編集]
春日権現記の跋文によれば西園寺公衡の発願により、高階隆兼が描き、1309年(延慶2年)に春日大社に奉納された。。西園寺公衡が、一門のこれまでの繁栄に感謝し,さらなる繁栄を祈願し制作を企画し、詞書を前関白鷹司基忠父子四人[1]が執筆した。絵は宮廷絵所預の高階隆兼が担当した。
美術史上の価値[編集]
華麗濃密な表現により動感を表現した技法は大和絵の伝統の集大成と言われる 当時の風俗を知る史料ともなる。多くの絵巻作品の中で最高峰のひとつと言われる。
所有者の変遷[編集]
春日大社に秘蔵されていたが、1725年徳川吉宗の命により流出し[2]江戸城に差し出された。その後勧修寺経逸が収集し,鷹司家を経て,1875年(明治8年と1878年(明治11年)の2度にわたり、皇室に献上された[3]。 現在は、宮内庁三の丸尚蔵館の所蔵である。
摸本[編集]
江戸時代後期に、紀州(和歌山)藩第10代藩主徳川治宝の命によってこの春日権現験記絵の模本が制作された。摸本の一部は東京国立博物館に所蔵されている。
- 春日権現験記絵(模本) 巻第一 冷泉為恭他模 江戸時代・弘化2年(1845)
- 春日権現験記絵(模本) 巻第六 冷泉為恭他模 江戸時代・弘化2年(1845)
- 春日権現験記絵(模本) 巻第十 冷泉為恭他模 江戸時代・弘化2年(1845)
仕様[編集]
- 発願者:西園寺公衡
- 絵:高階隆兼
- 詞:鷹司基忠父子四人
- 製作年:1309年(延慶2年)頃
- 構成:絹本着色。全20巻。目録1巻。
- 幅:40.0~41.5
- 長さ:635.0~1208.5
国宝[編集]
「春日権現験記」は文化庁により2021年9月30日に「国宝」指定となっている[4][5]。タイトルは「絹本著色春日権現験記絵」となっている。