軌陸車
軌陸車(きりくしゃ、 Road-rail truck )とは、軌道と道路の両方を走ることのできる車両である。一般的に、鉄道保線用などに使用される。
概要
「軌陸車」とは、線路等の工事又は作業に使用する機械で軌道及び一般道路を走行できるものをいい、保守用車に含まれる。
基本的にはトラック(ウニモグが多い)などをベースに、軌道走行用の装備を付けたものである。軌道への乗り入れは、保線部門敷地の専用スロープや踏切からされる。自動車としての区分上は特種用途自動車(いわゆる8ナンバー)に分類される。
道路上では一般の自動車として走行し、線路上では油圧などでレール上に鉄輪を降ろして走行する。線路上を走るときにエンジンの動力をレールに伝える手段としてはタイヤ駆動(後輪ゴムタイヤを鉄輪と同時にレール面に接触させて推進する方式(デュアル・モード・ビークルなど))と鉄輪駆動(タイヤから摩擦車の原理で動力を伝える方式、あるいは油圧モーターで直接駆動する方式など)がある。軌道上では道路上ほどの走行性能が得られない場合が多いが、保線などの作業用では速度は問題にならない。
タイヤ駆動式は駆動タイヤが車両限界をはみ出る為、今後は鉄輪駆動式が主流になる。
軌陸ユニット(鉄輪&方向転換装置)は重量が大きいため、過去に普通免許で道路を運転できた車体総重(8t)で登録するため、一部の作業ユニットを取り付けずに登録申請を行い登録後作業ユニットを取り付けたため後日車検に通らず違反が発覚ということもあった。
通常の保線用鉄道車両は、終列車が通過して線路閉鎖が行われてから車庫を出発し、現場への移動をするという時間ロスを生じるが、この軌陸車であれば予め現場付近の踏切横などで待機しておき、線路閉鎖後にそこから入線し最小限の移動で迅速に作業を開始することが可能である。このため特に作業時間が限られる都会の大手私鉄などで重宝されている。
軌陸車と軌道回路
もし軌陸車の左右鉄輪間が導通しているならば軌道回路により軌陸車は検知されるかもしれないが、その重量が軽いため接触不良を起こし確実とはいえない。左右の鉄輪間が絶縁されているならば軌道回路により検知されないので踏切等での誤動作は避けられるが、線路閉鎖が必須となる。一般に保線作業は営業運転されていない時間(終電から始発電車まで)に行われるため、線路閉鎖し信号システムに影響を与えない様、絶縁して使用されることが多い。