千葉県茂原市女子高生殺人事件

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斎藤 義仁
神明 勝信

千葉県茂原市女子高生殺人事件とは、2004年千葉県茂原市にて発生した、斎藤義仁ら5人による高中香織さん(17)拉致強姦殺人事件である。

女子高生殺害。廃屋で絞殺、少年ら4人逮捕。千葉・茂原

千葉県警茂原署は2004年12月23日、同県茂原市新小轡、県立長生高校2年、高中香織さん(17)を車で連れ去り殺害したとして、同市下永吉の無職、斎藤義仁(20)と、いずれも同市内に住む県立高校1年生(16)、無職(16)、配管工(18)の少年3人を殺人

と死体遺棄容疑で逮捕した。別の男(21)も事件に関与したとみて行方を追っている。

斎藤らは12月22日午前4時半ごろ、同市町保のJR茂原駅前で高中さんを軽乗用車に乗せて連れ去り、同6時半ごろ、北に約20キロ離れた同県東金市油井の廃屋で、ひものようなもので高中さんのを絞めて殺害、敷地内に遺体を遺棄した。

高中さんが連れ去られた直後、一緒にいた同級生の女子生徒(17)が「5人ぐらいの男に口をふさがれてバッグを奪われた。友達もいなくなった」と110番した。

同署の捜査で、同駅周辺をはいかいするグループなどから斎藤らが浮上。22日夜の斎藤らの供述通り、23日午前0時過ぎ、廃屋で高中さんの遺体が発見された。

4人は遊び仲間で、「路上強盗が発覚するのを恐れてやった」などと容疑を認めている。

高中さんが連れ去られたとみられる駅西口の現場から、数十メートル離れて交番がある。同署は「22日早朝は警官がいたかどうか不明」としている。

高中さんらはカラオケなどの遊びに行った帰りで、事件当時の人通りは少なく、一緒にいた同級生以外に目撃者はなかったという。駅周辺では今月に入り2件のひったくり事件が発生。深夜まで若者がたむろするなどで近隣住民から「不安だ」との指摘があった。

遺体発見現場は、ホテルだった建物が料理店に使われた後、5年ほど前から廃屋になったという。立ち入りを制限するさくなどはなく、「幽霊の出る心霊スポット」として若者の出入りがあり、地元住民から対策を求める声が市や警察に寄せられていた。

高中さんが通っていた県立高校定時制の教頭は「生活態度も落ち着いており、友人関係も良好だった。22日の終業式前に家族から『行方が分からない』と連絡があったが、こんな事件に巻き込まれているとは想像しなかった」と沈痛な表情で話した。

斎藤義仁

千葉県茂原市の県立長生高校2年、高中香織さん(17)が車で連れ去られ殺害された事件で、殺人容疑などで逮捕された同市の無職、斎藤義仁(20)ら4人が、県警茂原署特別捜査班の調べに対し、「以前から市内などで仲間とひったくりをしていた」と供述してい

ることが24日分かった。

事件のあったJR茂原駅周辺は、若者たちが結成した「カラーギャング」と呼ばれるグループがたむろし、ひったくりなどが多発していた。

斎藤の知人女性によると、同容疑者は半年ほど前、仲間約10人に呼び掛け、自分の名前を1文字取った「藤友会」というグループを結成、遊び回っていたという。今回逮捕された他の3人もメンバーだという。

同駅前で働く女性従業員(40)によると、駅前周辺には白、青、赤などいくつかの「カラーギャング」と呼ばれるグループが集まり、グループ同士でけんかをしていた。祭りの時は何百人も集まり、改造した車やバイクで暴走を繰り返しているという。

県警などの調べでは、同駅前付近で10月末から十数件の強盗やひったくり事件が発生。同駅は今月1日から、茂原署の要請を受け、ラッシュ時の朝夕、多発するひったくりに注意を呼び掛ける放送を流してきた。

高中さんは22日午前4時半ごろ、同駅南口脇の路地で、斎藤らに軽乗用車で連れ去られ、絞殺された。

高中さんの遺体は、殺害現場である同県東金市油井の旧ホテル跡地に放置された大型冷蔵庫の中で見つかったこともわかった。特捜班は、遺体を隠そうとしたとみている。特捜班は24日、4人を同容疑で千葉地検に送検した。

少年ら女子高生殺害。千葉県警、4人逮捕。バッグ強奪、発覚恐れ

千葉県警捜査一課と茂原署は23日、殺人と死体遺棄で、16歳の高校生ら少年3人を含む男4人を逮捕した。女子高生のバッグを奪おうとした末の衝動的な犯行とみられ、男らは「強盗がばれるといやなので殺害した」などと供述している。

殺されたのは同市新小轡(しんこぐつわ)の県立長生高校定時制2年、高中香織さん(17)。

逮捕されたのは、同市下永吉の無職、斎藤義仁(20)と、同市内に住む配管工の少年(18)、無職少年(16)、県立高校一年の男子生徒(16)の計4人。また、犯行に加わった職業不詳の男(21)が逃走中で、同署が逮捕状を取り行方を追っている。

斎藤ら5人は22日午前4時20分ごろ、同市町保のJR茂原駅前の歩道で、帰宅途中の高中さんと友人の女子高生(17)を突然襲い、高中さんのバッグを強奪。さらに高中さんを軽ワゴン車に無理やり乗せて、約15キロ離れた東金市油井の現在廃虚になっているホテルに連

れ込み、同日午前6時半ごろ、ひものような物で首を絞めて殺害し、死体をその場に遺棄した。

友人の女子高生は手提げポーチを奪われたが逃げて無事。この女子高生が110番通報して事件が発覚。同署が地元の不良グループなどを調べたところ、斎藤らの犯行と分かった。4人は「強盗がばれるといやなので殺害した」などと供述、容疑を認めている。

殺害現場のホテル跡は地元で有名な心霊スポットで、夏場や週末に若者が集まって騒ぐことなどが少なくない。

また、警察は斎藤義仁(20)の知人の神明勝信(21)を共犯者と断定し、指名手配し行方を追っている。

茂原・女子高生拉致殺害犯。反省も謝罪もなく

新たに指名手配された神明勝信(21)は、すでに逮捕されている斎藤と幼なじみで、いつも一緒に行動していた。

神明と斎藤ら5人は、茂原駅で県立高校2年生の高中香織さん(17)を連れ去って殺害し、遺体を遺棄した。斎藤らは「顔を見られて、ばれると思って殺した」と容疑を認めているものの、反省や謝罪の言葉は一切なく、取り調べにもまじめに応じていない。

捜査関係者の1人は「彼らは、取り調べ中によによしていた」と怒りをあらわにした。

一方、殺された香織さんは、犯行グループとはほとんど面識がなかった。また、香織さんは殺された後、捨てられて横倒しになっていた大型冷蔵庫の中に、体育座りのような格好で入れられていた。

神明勝信

県警捜査一課と茂原署の特別捜査班は29日夕、殺人と死体遺棄の容疑で指名手配していた住所不定、職業不詳、神明勝信(21)を埼玉県上尾市内で逮捕した。

交友関係を捜査していたところ、同市内の知人男性のアパートに一人でいた神明を発見した。神明は、容疑を認めている。

神明は、斉藤らが逮捕された23日には姿を消しており、特捜班は24日に指名手配していた。コードと冷凍庫は敷地内に放置されていたものだった。犯行に使ったレンタカーは、神明名義で借りていた。特捜班は、詳しい犯行経緯や動機を追及する。

裁判

犯人の1人(A5)は、2005年(平成17年)10月14日、拘置中の千葉刑務所で自殺。

犯人らには、本件以外にも強盗強姦や強盗傷害など多数の余罪があり、斎藤義仁、神明勝信に無期懲役、A3に懲役14年、A4に懲役13年の判決が下され確定した(千葉地裁平成17年11月16日)。

裁判で認定された殺害までの経緯

1.茂原駅付近での強盗

犯人らは5名で、平成16年秋頃から通行中の女性を狙ったひったくりや強盗を繰り返していた。事件当日も、茂原駅周辺をワゴン車で移動しながら対象を物色していた。同日午前4時20分ころ、カラオケ店から出てきた女性2名(高中香織さん、乙女、ともに17歳)

が茂原駅付近の路地に入ったのを見て、彼女らを襲うことを決めた。

乙女に対しては、A5が転倒させ馬乗りになって口をふさぐなどの暴行を加えたうえで、現金のほか、財布やバッグなど計11万円相当を強奪した。
高中香織さんに対しては、他の4人が顔面や腹部を足蹴にするなどの激しい暴行を加えたうえで、現金のほか、財布やバッグなど計8000円相当を強奪した。

2.強盗現場からの拉致

さらに、神明が、強姦目的で高中香織さんをワゴン車に運び込み、某トンネルまで連れ去ったうえでわいせつ行為(適用罰条は刑法176条前段)に及んだ。
その後、A5が、高中香織さんから聞いた出身中学や名前などから、高中香織さんが中学校の同級生の妹で、顔見知りであることに気付き、その旨を他の犯人ら4人にも告げた。
そこで、犯人らは、トンネル内で高中香織さんをどうするかを話し合った末、殺害を決断した。もっとも、その場では殺害方法が決まらなかったため、とりあえず高中香織さんを東金市の廃屋ホテルまで連れ去る。

3.殺害

犯人らは廃屋ホテルで殺害方法や死体の処理方法を話し合った末、結局、同日午前6時半ごろ、その場にあった電気コードで高中香織さんの首を絞めて殺害し、遺体は放置してあった大型冷凍庫に詰め込んで遺棄した。

裁判で認定された当事者らの身上

1.高中香織さん

3人姉妹の次女。昼間はアルバイトをしながら定時制高校に通い、教科書を無償で支給される奨学生に選ばれるほど勉学に励んでいた,また、中学生のころから交際していた男性と結婚を約束していた。

2.斎藤義仁(犯行時20歳)

斎藤義仁は、本件で起訴された事件だけでも、本件強盗殺人等のほか、強盗強姦1件、強盗傷人2件、恐喝・傷害1件、窃盗4件の各犯行を敢行しており、被告人ら5名の全部又は一部による法定刑の重い重大事犯のすべてに関与している。
神明とは幼なじみの同級生であり、不良仲間であった。また、A3は実の弟である。
斎藤義仁は、5歳のころに両親が離婚。当初母の下で暮らしていたが、平成6年ころからは、暴力団の組長をしていた父の下で生活していた。中学校卒業後の平成11年に、幼なじみの神明とともに犯した強盗致傷罪等により初等少年院送致の処分を受ける。
少年院仮退院後は、父が組長となっている暴力団の組員となるが、他の暴力団関係者の自動車を盗んだことで所属暴力団を破門された。
なお、斎藤義仁が、後述するA3の結成したカラーギャングの後見人になったことから、犯人ら5人はともに行動するようになった。

3.神明勝信(犯行時21歳)

神明勝信は、本件で起訴された事件だけでも、本件強盗殺人等のほか、強盗傷人2件、恐喝2件、恐喝・傷害1件、窃盗4件の各犯行を敢行している。
神明勝信は、斎藤義仁と同級生であり、暴力団組員としての経歴もある斎藤義仁とは、互いに兄弟と呼び合っている仲であった。斎藤義仁とは、父の暴力により家庭内が不和になったことなどを契機に交遊するようになった。
神明勝信は、今回の事件以前にも、強盗致傷等の罪により2回ほど中等少年院送致の処分を受けていた。

4.犯人A3(犯行時16歳・斎藤義仁の弟)

A3は,本件で起訴された事件だけでも、本件強盗殺人等のほか、強盗傷人1件、恐喝1件、恐喝・傷害1件、窃盗3件の各犯行を敢行している。
A4は、小学校時代の同級生である。また、斎藤義仁は実の兄である。
A3は1歳のころに両親が離婚し、母と暴力団組長であった父の下を行ったり来たりしていた。兄である斎藤義仁の影響により、小学生のころからシンナーを乱用しており、中学2年時の平成14年には、引ったくりやバイク盗により2回にわたり保護観察処分を受けた

。さらに平成15年には恐喝罪により初等少年院に送致される。

平成16年4月少年院を仮退院した後には、カラーギャングを結成してリーダーとなった。なお、結成後間もなく、A3は暴力団組員になることを決意してカラーギャングをやめ、リーダーはA4に譲られた。

5.犯人A4(犯行時16歳)

A4は、本件で起訴された事件だけでも、本件強盗殺人等のほか、強盗傷人1件、窃盗8件の各犯行を敢行している。
A3は、小学校時代の同級生である。
A4は、中学生のころから非行性を強め、同級生A3を通じて斎藤義仁と知り合ってからは、暴力性を強めた。A3の結成したカラーギャングでは当初サブリーダーを務めた後、A3が抜けた後はリーダーを務めた。

6.犯人A5(犯行時18歳)

A5は、斎藤義仁の父の下で配管工等をしていた。