制服警官女子大生殺人事件
制服警官女子大生殺人事件（せいふくけいかんじょしだいせいさつじんじけん）とは1978年に発生した殺人事件。
概要
1978年1月10日、東京都世田谷区のアパートで22歳の女子大生が殺害されるという事件が発生。被害女性は首にストッキングが巻かれ、暴行された形跡があった。タンスの引出しが開いたままになっているなど、物色された形跡もあった。
パトロール中の北沢警察署経堂駅前派出所巡査（当時20歳）が現場を最初に発見したと主張、アパートの家主による通報で現場検証が始まった。
北沢警察署は殺人事件として特別捜査本部を設置。第一発見者である制服巡査も捜査に加わる。巡査は、パトロール中の午後4時半頃に現場のアパートでガラスの割れる音がしたので、アパートに駆けつけて遺体を発見したと証言。しかし、ガラスの割れる音がした時間が他の証言と食い違うこと、巡査の顔にひっかき傷があることなどを追及されると、巡査は犯行を認め、逮捕されて懲戒免職となった。
犯行
犯人は学生時代の素行が悪く、中学3年の時に洋品類を窃取、高校1年の時に喫煙で停学、バイクの無免許運転をし、高校3年の時に事故を起こしている。しかし、経堂駅前派出所に配属されてからは、勤務の傍ら大学夜間部に通学するなど勉強熱心な一面も見せていた。
しかし、遊ぶ金が足りなくなり、警官の制服を着たまま空き巣をするようになる。空き巣による窃盗事件は合わせて5件、盗んだクレジットカードを使用する詐欺も23件起こしていたことが後に明らかになった。
犯行2日前の1月8日、犯人は非番中にポルノ映画を見て、翌1月9日に犯行を決意する。事件当日の1月10日、犯人は被害女性の部屋の両隣が留守であることを確認して、交番から巡回連絡を装って訪問。ドアが開けられると部屋に入りこみ、内側から鍵をかけて乱暴、被害女性の首をストッキングで絞めて殺害した。乱暴の際、被害女性の手が窓に当たってガラスが割れ、この音で制服巡査は殺害を決意したという。婦女暴行については未遂に終わったとされる。
しばらくして、割れたガラスから家主がのぞいているのに気づいた犯人は、家主に女性が殺害されていると110番通報するよう依頼した。
その後
1月19日、国家公安委員会は土田国保警視総監や警視庁幹部3名が減給処分となった。警視総監の処分はこれが戦後初めてだった。土田総監、北沢署署長らが引責辞任した。
