笠井和樹

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笠井 和樹(かさい かずき)とは、ゆうパックを盗む日本郵便の26歳期間雇用社員である。

事件概要

郵便局内で配達予定のゆうパックを盗んだとして、京都府警下京署が窃盗の疑いで京都市南区の日本郵便期間雇用社員、笠井和樹(26)を逮捕、2016年3月下旬に起訴された。

笠井は、人気ゲーム「THE IDOLM@STER(アイドルマスター)」のキャラクター「我那覇響(がなはひびき)」などを含む10以上の偽名を名乗り、匿名化ソフト「Tor(トーア)」を利用して、大手通販サイトでギフト券など約814万円分をゆうパックの代金引換で注文。到着時間など郵便局の内情を把握する立場を悪用し、郵便局に届いたゆうパックを窃取する犯行を繰り返した。〝完全犯罪〟の目論見はすぐに露見し、あえなく御用となった。

笠井は平成27年3月13~24日、京都市下京区の京都中央郵便局で、大手通販サイトで注文したギフト券など約814万円分が入ったゆうパック計28個を盗んだ。

下京署や日本郵便近畿支社によると、笠井は平成20年8月ごろから、期間雇用社員として同郵便局で週3回程度、全国から届くゆうパックを配送先の地域に仕分ける作業を担当。今回、偽名を使ってギフト券などを大手通販サイトに発注し、同郵便局に届いたゆうパックを抜き取っていた。

これまでの調べでは、笠井は犯行で10種類以上の偽名を使ったことが分かっている。大手通販サイトでは、「我那覇響」のほかに「五反田布袋」「六階段時雨」といった架空の名前を使用。発信元が分からないようにするための匿名化ソフト「Tor(トーア)」を利用するなど、徹底して身元がばれないような〝工作〟をしていた。

笠井は、ゆうパックが同郵便局に一度配送されることを把握した上で犯行を計画、大手通販サイトでギフト券などの商品を注文した。その際、住所の記入の必要のない「コンビニ受け取り」で、代金引換の形を取っていたという。さらに、同サイトに用意されている速達サービスをうまく利用すれば、自分が勤務している時間帯に、同郵便局にゆうパックを到着させることが可能なことも知っていた。

同郵便局内で荷物の積み下ろし作業などの最中に、自分が注文したゆうパックを確認し、周囲の目を盗んで作業場内の人目につかないところに隠した。

そして、人がいない時間帯を見計らって回収。トイレの個室に入ってギフト券を抜き取り、梱包の段ボールは分解して服の中に隠すなどして何食わぬ顔でトイレから出ていた。

笠井は下京署の調べに対し、動機について「大学の奨学金約300万円やクレジットカードローンなどの借金返済が目的だった」と説明している。

しかし、注文した商品の中には、換金できるギフト券だけではなく、高級イヤホン(約12万円)や音楽プレーヤー(約17万円)も含まれていた。借金返済だけが動機だったというわけでもなさそうだ。ただ、実は窃取したギフト券のほとんどは換金できていなかったという。

同署によると、換金されたギフト券は約29万円分だけで、残る大半は同郵便局内の社員共用の机の中にあったのだ。

笠井は、ゆうパックから抜き取ったギフト券を一度は自宅に持ち帰ったものの、その後再び郵便局内に持ち込み、机の中に隠していた。その理由について「手元に置いておくのが怖かった」との趣旨の説明をしている。なぜか破棄したこともあった。

なぜ、盗んだギフト券の大半を換金しなかったのだろうか。同署の調べでは、金券ショップなどでギフト券を換金する場合には身分確認が必要だったことから、直接換金することを断念していたとみられる。約29万円分については、ビール券を購入するなど複雑な過程を挟んで換金にこぎつけていた。

偽名や匿名化ソフトの利用で徹底的に身元を隠し、慎重に事を運んでいた笠井。なぜ、犯行は明るみに出たのか。

ゆうパックはそれぞれに追跡可能な番号が付いており、配達状況が確認できる。同郵便局を通過して以降、行方が分からなくなる荷物が頻発したことなどから発覚したのだ。

同社は内部調査の末、2015年4月に下京署に相談し、6月に被害届を提出。同署は2016年3月3日に笠井を逮捕した。笠井は当初、黙秘していたが、途中で観念したのか、一転して犯行を認めた。

日本郵便近畿支社によると、「(笠井は)勤務態度はいたって普通で、これまでトラブルを起こしたことはなかった」という。

矢崎敏幸近畿支社長は「社員がこのような事件を起こし、誠に申し訳ない。再発防止に向けさらに検査・監査の徹底を図りたい」とコメントした。