九条の会
九条の会(きゅうじょうのかい)とは、日本が戦争を永久に放棄し戦力を保持しないと定めた第9条を含む日本国憲法の改変を阻止するために結成された会である。
2004年6月の日本の護憲派知識人、文化人の呼びかけにこたえて、日本各地、各分野で数千をこえる「XX九条の会」や「九条の会XX」が結成されている。
概要
憲法改正論議が活発化している日本社会の現状について、「太平洋戦争で悲惨な経験をし、またアジア諸国に多大の惨禍を及ぼしたにもかかわらず、アメリカに従って戦争の出来る国になろうとしている」と危機感をもち、「不戦を誓った日本国憲法第9条を変えるな、変えさせるな」と主張している。各地域・各界においても、また趣味人など多様・広範な層にも「○○九条の会」や「九条の会○○」等が存在し、これらの数は数千にのぼる。
九条の会は政党から独立した超党派的活動と自らを位置付けている。他方、各政党の側では、日本共産党・社民党・新社会党といったいわゆる護憲派政党の党首らが賛同者になり、この運動に協力している。
その一方で、九条の会は一部の保守派や芸能人などから批判されている。たとえば、実際の戦力のむやみな放棄はかえって紛争を誘発しかねないこと(ただし、九条の会はいますぐ戦力の放棄を求めているわけではない)や、条文の一部しか解釈していない、即ち他の条文との利害の関わり(詳細は日本国憲法第9条#自衛をめぐる議論に詳しいが、例えば9条策定当時敵国条項が制定されており、現行死文化されている為、現行国連憲章53条、77条、107条に違反している事、憲法11~13条問題など)について一切言及していない為、その実日本国憲法を理解していない乃至曲解して活動しているなどの指摘や、お粗末な日本の外交テクニックと相まって、戦力の欠如が土下座外交の遠因となっているといった趣旨の主張がなされている。
非武装中立#反対意見なども参照
九条の会には様々な考えの人が集まっており、これらの人々の主張が細部まで一致しているわけではない。たとえば、国連憲章第51条で規定されている集団的自衛権については、批判する場合もある。
オペレーション・トモダチを批判(毎日新聞より)
憲法記念日の2011年5月3日、大牟田市不知火町の大牟田文化会館で「激動の世界と憲法九条」と題した講演会があった。護憲団体「九条の会・おおむた」の主催で、約400人が参加した。
憲法学専門の水島朝穂・早稲田大学法学学術院教授が講師を務め、軍事問題や東日本大震災の影響と絡めた視点で護憲の意義を語った。
水島教授は4月27~30日、東日本大震災で被災した東北3県を視察。現地で取材した自衛隊の支援活動を評価する一方、メディアなどが米軍のトモダチ作戦を評価することに異論を述べた。
水島教授は、憲法9条の規定で「日本は集団的自衛権を行使できない」と強調。「米軍は遺体捜索と同時に上陸作戦の演習をやったのではないか。トモダチ作戦を『日米同盟の深化』などと言うと『次は自衛隊が米軍を助ける番だ』との議論が出てくる」と訴えた。
震災後に憲法を改正して緊急事態の条項を入れるべきだとの意見が出ていることを
「課題への対応が進まないのは政府が無能だから。憲法のせいにして改正するのは火事場泥棒のやり方だ」
と批判した。その上で「憲法の原理は人権と地方自治。被災した自治体の権限を強め、復興を進めるべきだ」と話した。
毎日新聞 〔筑後版〕憲法記念日:護憲を語る講演会--九条の会・おおむた主催 /福岡
呼びかけ人・主な賛同者
呼びかけ人は以下の9人。※は故人(2010年現在)
- 井上ひさし(作家)※
- 梅原猛(哲学者)
- 大江健三郎(作家)
- 奥平康弘(東大名誉教授・憲法学者)
- 小田実(作家)※
- 加藤周一(評論家)※
- 澤地久枝(作家)
- 鶴見俊輔(哲学者)
- 三木睦子(三木武夫元内閣総理大臣夫人)
多くの著名人の「賛同者」がいる。東大教授小森陽一などが運営に関わっている。
主な講演会
講演内容がDVD化されている大きな講演会
脚注