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2018年7月31日 (火) 23:09時点における版
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ブラック企業(ブラックきぎょう)とは、従業員に劣悪な環境での労働を強いる体質を持つ企業のこと。厚生労働省の定義では「若者を使い捨てにしてる疑いがある企業」。
目次
- 1 概要
- 2 具体例
- 3 簡単な見分け方
- 4 ブラック企業の求人広告の一例
- 5 その他ブラック企業の特徴
- 6 なぜ飲食店は「ブラック」化するのか?
- 7 体験者の情報発信
- 8 現役ブラック企業社長が、社員を安くこき使う華麗な手口を暴露
- 9 遅刻部下に頭からヤカン熱湯、さらに殴る蹴る
- 10 残業代未払い求めるドライバー「人間不信に陥る」
- 11 “ブラックアルバイト”も問題化「売れ残り買わす」「試験前でもサービス残業」絡め取られる学生たち
- 12 まるでカルト教団。「働きがい」洗脳でうつになった女性
- 13 ブラック企業ランキング
- 14 精神をやられやすい男性の職業
- 15 政府が「ブラック企業」の名前を公表!? 問題解決につながるか
- 16 ブラック企業対策プロジェクト
- 17 「売り上げ厳しくて…」給料10カ月分払わず。神戸の会社を書類送検(2014年3月)
- 18 すき家「時給1375円にしても人が集まらない!深夜業務を一人に全部押し付けるブラックワンオペの実態がバレて誰もバイトにこない!」(2014年4月)
- 19 出典
- 20 関連項目
- 21 参考文献
- 22 外部リンク
- 23 最後に
概要
低賃金での長時間労働やサービス残業、休日や休憩なしの勤務、暴言などのパワーハラスメントが当たり前で、違法性の強い劣悪な労働環境を強いる会社。事前の準備がいらず、1回の面接で即内定がもらえるなど“楽勝就職”できるため、学生が就職先として安易に選んでしまうケースも多い。
この意味での言葉の元々の出所は求人広告の業界であるとも、また、パソコン通信時代から存在し、インターネットの普及によって広まった一種のインターネットスラングであるとも言われ、他にも諸説があるが、現在では以下に述べる様な体質の企業を指す言葉として、インターネットなどを中心に広く用いられている。ほぼ同様の意味合いを持って使用されるインターネットスラングとして、『DQN企業』などという表現もある。
企業について、体質面、特に人的な要素に何らかの問題を抱えている場合、その企業について「ブラック企業」などと表現されることがある(信用情報も参照)。
企業活動においては、その「信用」の重みは、企業経営の重要な要素のひとつとなっている。
「ブラック企業」という言葉は、基本的に次の様な社会的に望ましくない会社組織の様態、企業体質を持つ企業に用いられる。また、これら要素が重複している所も少なくない。
- 残業がある。 - そもそも本来の就業時間以外に働く必要は無く、残業の存在自体が異常である。
- 施設や設備が整っていない。 - 例えば一人一台のパソコンが無い、時代遅れのパソコンなど。
- 薄給である。 - 薄給であるかどうかの感じ方に個人差があるため一概には言えない面もある。
- コーポレートガバナンス(企業統治)が出来ていない。
- コンプライアンス(法令遵守)が守られていない。
- CSR(Corporate Social Responsibility 企業の社会的責任の遂行)が出来ていない。
- 従業員教育の質が悪い、あるいは従業員教育が形骸化している。
- 社会通念に照らして問題のある状態や行為を、幹部や権限を持つ社員が平然と許容し、従業員にも強いる。
- パワーハラスメント、いじめの横行など従業員に対する扱いが悪い。
- 離職率が高い。
- 私服不可。 - これは、クリスマス商法やバレンタイン商法などと同様に、スーツを着るのが公式という服飾業者の策略が浸透してしまっているため、営業職など一部は該当しない場合がある。
- フレックスタイム制がない。 - 昼型人間、夜型人間に配慮していない。
- 夜勤がない。 - 昼型人間、夜型人間に配慮していない。
- 会議が多い。
- 会議が長い。
- ノルマがある。
- 納期を厳守する必要がある。
- 朝礼がある。
- 朝礼などで自分のプライベートや考えについて持ち回りで発表しなければならない。
- 喫煙できる場所がない。 - 喫煙者差別。
- オフィスのある建物が老朽化している。
- 半強制的な飲み会がある。 - 飲み会やカラオケが苦手な人間に配慮していない。
- 激務である。 - いわゆるキツイ・キケン・キタナイの3K
- 危険な場所で働かされる。 - いわゆるキツイ・キケン・キタナイの3K
- 不衛生な場所で働かされる。 - いわゆるキツイ・キケン・キタナイの3K
ブラック企業は、大手中小など企業の規模に関わらず多数存在している。一種のインターネットスラング的に使用される事が多い言葉であるため、IT・パソコン・情報技術などの近年に隆盛し労働者に若年層が多い産業にブラック企業と呼ばれる企業が多い傾向があるものの、実際には一般的な製造業、サービス業から、果てには建設、建築、園芸、芸能、伝統工芸に関連する企業に至るまで、実に幅広い業種でこの様な問題のある体質を抱えた企業が存在しており、それこそ「業界」が成立している産業にはブラック企業が必ず存在するとすら言える。また、その業界界隈でこそ実態が有名であるものの一般的には広く知られていない、「隠れブラック企業」とでもいうべき存在も様々な業種で見受けられ、またこの種の噂も絶えない。
「ブラック企業」においては、元従業員・(工場周辺などの)近隣住民・顧客といった被害者との間で常に訴訟やトラブルの危険性を内包しており、見識のある経営者を自認自負するならば、「ブラック企業」と呼ばれる事態にならない様に、組織体質の変化に常に注意を払い続けなければならないものといえる。何故ならば、ブラック企業体質というものは、
- 利益の減少・従業員の労働意欲の低下
- 生産性の低下
- 従業員のモラル低下
- 違法行為の誘発
- 従業員の定着率の悪化
- 労働災害の多発(負傷以外に従業員の鬱病や自殺なども含む)
- 風評被害という詭弁を使う
- 取引先・求人広告会社などへの対外的な信用低下
これらの問題を引き起こす要因となり、ひいては上述した様な企業全体の信用の悪化、業績悪化などのリスク要因にもなる為である。また、現代では上層部が問題への対応を誤れば、その瑕疵は長らくインターネット上などに残り続ける事になる。不祥事や悪評(これら噂の中には、製品不良の隠蔽、労災隠し、社内の人事派閥抗争など、元従業員が情報の発信元として推測される噂が加わる事も少なくない。)他にも労災認定を巡る紛争などのニュース記事が、インターネットの検索サイトの検索結果の上位に長期間掲載され続けたり、同様に検索結果の関連ワードにネガティブな単語が並ぶ(例えるならば、社員の過労による鬱病自殺で遺族に労災認定を求める裁判を起こされ、大きく報道された「XX社」という企業がある場合、この企業名で検索した際に、検索結果の関連項目欄に「XX社 過労自殺」「XX社 鬱病」「XX社 労働災害」などのワードが並んでしまうという事態が起き得る)事で、企業のブランド求心力や人材確保の能力が低下してしまう事にも繋がりかねない。これらの結果として、究極的には経営破綻という最悪の事態に追い込まれる可能性すらある。
「商売で儲けるためには多少悪いことをしても、ばれなければよい」という発想に感化されたモラル無き経営者や幹部、「悪いことをしているとは思うが、会社の為、自分の成績の為なら目をつぶる」という盲目的な管理職・従業員が、この様なブラック企業の精神的支柱をなしている場合もあるが、社会的常識から考えれば違法行為や違法まがいの行為であっても、その様な自覚が経営陣や管理職に全く無いケースも有り、基本的な社会通念や常識の欠如がブラック企業の本質である場合も有る。
具体例
「ブラック企業」体質の具体例としては、以下のような点が挙げられる。 (注:例示されているケースはあくまで一般的に論議されている例であり、実在する会社、固有名詞と一切関係ない。)
簡単な見分け方
危険な会社名
以下のような文字列を含む会社。
- ハート~
- ~スマイル
- ~ウェイブ
- ワールド~
- グローバル~
- リバティー~
- ~カンパニー
- ~ソリューション
- ~コーポレーション
- 社長の苗字が社名
これはNG!な求人広告の写真
- ガッツポーズの写真
- 茶髪の事務女が全面的にドアップな写真
- 高級外車のある写真
- 都会の高層ビルの写真
- 肩を組合っている写真
- 満面笑顔の写真
- 若者ばかりの集合写真
- 内容に関係ない外人の写真
- 携帯電話片手にキメてる写真
- 外人がワイングラス片手に満面の笑顔の写真
- 外人が指差している写真
- 若者が上を見上げている写真
- モデルっぽい女の子ばかりの写真
- 茶髪でつなぎを着た作業員の集合写真
- 写真の代わりにキャラクターの作業員
- 茶髪の事務女が真中にいる写真
- 若者中心でおでこ全開、前髪を後ろで固めている写真
- 机に電話機しかおいてない
その他、知っておきたい求人広告のキーワード
- 感動型経営!感動創造を目指します。(高離職率低賃金、高卒中心)
- ベンチャースピリットのある方募集!(高離職率低賃金、使いまわし)
- 25歳、元警察官、彼は現在保険営業をしています。(飛び込み営業でノルマを課します)
- 高卒後、3年後に俺でも係長になれた。実力があれば年齢は関係ありません。(DQN中のDQN)
- 正社員登用の道あり(実際のところありえない)
- 人材ではなく人財を求めています。(ノルマ多し、錆残多し、人は奴隷)
- 女性も頑張っています(女は定時で帰宅、男は錆残の会社)
- サービス精神がある方(サービス残業精神のある方)
- 幹部候補募集(薄給でも責任重大)
- 未経験大歓迎(誰でも出来る仕事です)
- 若い仲間が頑張ってます。(離職率高し)
- 大幅な事業拡大のため募集。(年中人手不足)
- あなたのがんばりを評価します。(歩合率高し)
- 家庭的で働きやすい職場です。(同族企業です)
- とても風通しの良い社風です。(ワンマンな社風です)
- 中途採用のハンディはありません。(入れ替わり激しい)
- 大変やりがいのある仕事内容です。(アホくさい内容です)
- 店長をはじめ愉快なスタッフがあなたを待ってます。(店長は元バイト)
- 公共職業安定所の求人の多くはブラック企業の求人である。求職者から様々な被害に遭い苦情が公共職業安定所にあがってきても、ブラック企業が公共職業安定所へ求人の掲載を求めたら、公共職業安定所は求人を断る法的根拠を持たないため、掲載せざるを得ない。この為、長期間にわたってブラック企業の求人が掲載されることになる。
経営
- ワンマン経営(専制経営)
- 強力なリーダーシップを発揮できる経営者が不在で内部の意思統一が全く取れない。業務上必要な情報の共有が全くない。にもかかわらず下世話な情報だけはしっかり共有されている。それぞれが勝手な価値観で動いているため、いじめやセクシャルハラスメント、高離職率が企業体質となっているケースが多い。
- 「サル山のサル」体質
- 会社内で主導権を握っているように見える者が、「Aだ」というと、たとえBであろうと周囲が一斉に「Aだ」「Aだ」と言い始めるような体育会系部活動や暴力団のような上意下達の組織。闊達な議論や自由な発想が全く出てこない組織となる。これがエスカレートして絶対王政・治外法権状態になることもある。それは成長の停滞、従業員の定着率の低下、モラル・ハザード、セクハラ、いじめの原因ともなる
- 社長や創業者(一族も含む)を崇めさせる体質
- 神輿経営
- 経営陣や上級幹部は具体的な経営プランを提示せず従業員任せにして、成果が出たら自身の指導が良かったのだとして成果を横取りし、失敗すれば従業員の働きが悪いとして責任を取らせる経営手法。従業員の、仕事に対する意欲が下がる一因。
- 「若い人に仕事を任せる」「若い人でも重要な仕事に就かせる」とは、「仕事の教育指導はしないが、高度な目標達成を要求する」と同義語である。または若手ばかりでベテランがいない(→離職率が高く社員が定着しないことが多い)ことも一因である。
- 社長の世襲など、経営的に無能な人物が経営陣や上級幹部に多い。社会での実務経験が乏しく、これまで無職同然であった者でも、社長の息子や孫という理由だけで社長や取締役になるケースさえある。酷いケースの場合、社長や創業者の愛人を幹部や取締役に据えることもある。
- 親会社からの出向者が経営陣や上級幹部の多くを占め、子会社の実務を知らないため神輿経営にならざるを得ない(いわゆる『天下り』)。特に土建業界や学校・医療法人に顕著な官僚からの「天下り」で会社の幹部に座る者もいる。
- 人事
- 経営陣の意向に沿わない人物の解雇や左遷(基本的に地方の子会社や閑職に追いやる)、あるいは上層部の腰巾着的人物の登用などの恣意的な、独裁主義的人事が横行する。
- 従業員の行動、発言などに対して、総務部門や人事部門などにより秘密警察的な監視が行われている。
- この人脈による管理職などへの抜擢、対抗派閥の人物の追い落としが繰り返されるなど、派閥による人事抗争や派閥人脈での会社支配が行われている。
- 引き抜きや中途採用により仕事のノウハウや客先を持っている人を採用するが、欲しい情報を得て用済みとなれば直ぐに解雇する。
- 労働組合
- 労働組合は作らせない、あるいは会社側の意向に従う労働組合(いわゆる御用組合)を作って加入を強制する
- 「御用組合」に加入することを入社の条件とする会社もある。特に電機系では「ユニオン・ショップ」制を悪用し、「(御用)組合にいられなくなったら会社にもいられなくなる」と従業員に圧力をかけることも多い。
- 経営側と(特に「御用組合」の)労働組合幹部との癒着、昇進等での優遇
- 賃上げ交渉や労働条件交渉などの団体交渉も当然形骸化し、組合側の幹部の「労働貴族」化も見られる。
- 労働組合を潰す為に子会社を廃業し、組合員以外の社員のみをほかの会社に就職させる。
- 安全軽視
- コスト削減、利益追求にばかり目が行き、安全面が軽視された労働環境を形成する。『従業員個々の心掛けと訓練で事故は撲滅できる』などと精神論に根ざした安全教育に依存し、機械的な安全装置や安全性を重視した労働管理のシステムなどの導入を行わなず、業務上の事故が起きた時に、経営陣や管理職は責任を逃れる為に、従業員個人の責任のみを追求し、事故を起こした個人だけに責任を押し付けようとする。
- 労災が発生しても、労災扱いにさせないように従業員に圧力をかける(労災隠し)。
- 社会的評価が悪い、低い。あるいは法律・条例、社会通念を軽視し、社会貢献という概念も社内に無い。
- 「多少法に触れる悪いことであっても、バレなければよい」という間違った倫理観が罷り通り、遵法意識がない。一方で遵法意識を見せると、逆に業務の効率化を妨げているなどとして、社内での評価を落とされる。
- 会社の姿勢や従業員に対して、事業所周辺での地域社会の評判が悪い。(例:訪問販売などで住民を執拗に勧誘したり、それにより彼らの業務や生活を妨害しているケースや、地元住民を採用しても待遇の悪さや内実を目の当たりにしてその地域で悪評が一気に広まるケースもある。)
- 周辺地域へ貢献する意志が無く、地元地域への協力もしない。地域社会の意向を汲みいれず、簡単に事業所を閉鎖したり解雇したりする。近隣住民の積極的雇用も行わない。
- また、地元の祭礼などの催し物などへの協力にも無関心で、協賛金の支出などはなおさらしない。
- 地方自治体の企業誘致政策を利用し子会社を設立するが企業誘致に伴う優遇措置期間が切れるとその子会社を閉鎖するとともに、隣接する地方自治体の企業誘致政策を利用して新たな子会社を設立するなど、優遇措置による旨みだけを求めて会社の設立・閉鎖を繰り返す。閉鎖の度に従業員の解雇を繰り返すなど、労働者の生活を全く考慮しない。
- 違法行為や条例への抵触を指摘され、行政処分や業務改善の命令や勧告を受けたり、受ける気配が濃厚になった営業拠点を廃止し、近隣に新たな営業拠点を新設する事で『行政処分逃れ』を繰り返す。(例:公になって問題視されたケースとしてはグッドウィルおよびグループ会社のコムスンがある。
- これらの結果として、元従業員がその会社に勤務したという事実を、履歴から自ら抹消する事もある[1]。
- いわゆる「フロント企業(企業舎弟)」
- 新興宗教信者経営の企業
勤務
- 待遇・勤務条件が悪い。
- 24時間態勢で稼働する工場や警備業、ビルメンテナンス業などにて交代勤務を取り入れて勤務する場合、3交代ではなく2交代のシフトしか取り入れていないため、極めて不規則な生活となり、体調を崩しやすくなる。
- 例1:9:00~21:00・21:00~9:00のように、実働時間と休憩時間を合わせた拘束時間が12時間(自宅からの通勤時間および帰宅の所要時間も加算すれば、実質の拘束時間はもっと長くなる。)もある(実働時間は10時間〜10時間30分程度)。
- 例2:8:00~翌朝8:00。隔日勤務(原則としてGWやお盆、年末年始の休暇はなし。公休の設定もなし)で年のほぼ半分が休養日と謳っておきながら、休養日でも0:00~8:00までは実際に勤務しているため(いわゆる「インチキ非番」)、実質は365日休みなしで勤務しているのと全く変わりはない。
- 例2-1:1年を通じて、(月)8:00~24:00 → (火)0:00~8:00 → (水)8:00~24:00 → (木)0:00~8:00 → (金)8:00~24:00 → (土)0:00~8:00 → (日)8:00~24:00 → (月)0:00~8:00 → (火)8:00~24:00 → (水)0:00~8:00 → (木)8:00~24:00 → (金)0:00~8:00 → (土)8:00~24:00 → (日)0:00~8:00のサイクルで勤務するため、終日休める日は全くない(休養日はいわゆる「インチキ非番」)。
- 例3:18:00~翌朝09:00。通勤時間も含めると、自宅にいる時間が数時間。残業等が発生するとさらにその時間は短くなる。
- 同業他社に比べ給与水準が低い。
- また、特にITなどのベンチャー企業に顕著だが、幹部と一般社員との給与水準に大きな開きがある。さらに、無謀な営業目的を無理やり達成して得た利益を従業員に還元(給与や賞与の引き上げなど)せず、その利益を経営者や幹部のみに還元する。
- 求人広告で、賃金を「月30万円以上可」のように、支給額が高額であることを強調した場合、それが残業・休日出勤・夜勤の手当を(労働基準法で認められる限界まで)加算した合計額であることを目立たせないよう付記し、少しでも給与が高いように見せかけて表示する。残業がないか、または月に数時間しかない場合、当然その分の支給額は減少する(表示例 :月30万円以上可(残業40時間・休出4日を含む))。
- 発展途上国出身の外国人を労働者として雇う場合、「あの国では日本より安い賃金でも生活できる」などの理由を付け、日本の最低賃金よりさらに低い賃金しか払われないケースもたびたびある(残業手当の未払いも恒常的となっている)。「外国人だから」などという差別的な扱いが原因で訴訟に発展するケースもある。
- 制服や工具など業務で必要なものでさえ、数万円単位で高額な自己負担を強いる。本来の給料より高くなる場合もあり、ローンを組まされることもある。また、従業員には、会社のロゴ入りだからなどという理由で店舗での小売価格よりも2~3倍近くの値段で制服や工具、文房具を購入させる企業もあり、それが入社の条件という。
- 左遷や転勤の際に発生する引っ越し、転居にかかる諸経費まで自己負担を強いる。
- 社員への福利厚生や待遇を入社案内で強調(社員の通勤の為に立体駐車場を完備、保養所完備、昇給は年2回、引っ越しの費用は会社負担等)するが、実際は全て役員向けの待遇で、一般社員には何の待遇もない(同族会社に多く見られる)。
- 求人誌や求人広告・ハローワークでは「事務職」「経理職」と一般的にノルマに追われないと見られる募集を掛けておきながら、採用された途端ノルマがきつく、離職率も高く常に人手不足の営業職に即座に異動させられるケースもある。こういった本当の配属先を隠して募集を掛けるケースは営業職がきついと流布しているブラック企業が営業職で募集を掛けても応募者が集まらず、このような実態を隠しての募集を掛けている(特に事務職募集の求人票に「要普免」とある場合はその傾向が強い)。
- 入社時、会社から半強制的に借金を背負わされ、退職する際に借金返済を迫る。会社に縛り付けようとする狙いと思われる。一般に水商売や風俗業に多いが、古い体質を持つ一部の零細電気系メーカーなどでもしばしばみられる。
- また、労働基準法で禁止されている「強制貯金」(給料を全額会社が所有する指定の口座へ振り込ませる)を行う企業もあり、特に寮を持つ日雇いを多く雇う企業に見られる(脱走防止のため)。
- 明示的・非明示的を問わずサービス残業、付き合い残業(仕事が終わっても上司や先輩の仕事が終わるまでは残されたり、または手伝わされること。同輩や後輩、部下も例外ではない)、ナアナア残業(特に理由もなく、仕事が終わっても帰宅しようとしないこと。または帰宅させないこと)の強制。
- 所得税や年金・雇用保険(保険料)による控除だけでなく、「強制貯金」や「罰金」などあらゆる名目で控除するため、最終的な正味の手取り額が半分程度にまで落ち込むこともある。
- 実質的な権限や裁量を持たない「名ばかり管理職」が多い。このような企業は、従業員に占める管理職の割合が異常に高く、「管理職には残業手当を支払わなくてもよい」ことを悪用しているケースが多い。実質的には「残業手当の支払い義務を逃れるための肩書き」となっている。詳しくは「管理職#「名ばかり管理職」の問題」や「サービス残業#管理職に昇進させる」を参照。
- 「先輩(上司)より先に出勤しろ or 早く帰るな」「先輩(上司)は後輩(部下)の休暇を貰う権利がある」などという、就業規則上根拠のない暗黙の“不文律”を強要する。従わないと「協調性がない」「身勝手な奴だ」などと人事考課上でマイナスされ待遇面に響く(より悪質なケースでは表向き「遅くまで残っていても考課には一切影響しません」などとしていても、実際にはその逆であったりする)。
- 恒常的な長時間労働、休日出勤があり、なおかつそれらを隠蔽する体質がある。タイムカードでの時間管理も「退社時刻になったらタイムカードに記録しろ。残業はなかったことにしろ」と命令され、サービス残業があってもタイムカード上での証拠は「定時退社」ということになる。当然手当てや代休も与えられないため、このような長時間労働や休日出勤は、解雇などを回避するための免罪符にしかなっていない(これすら表向きの場合が多い)。
- 休日に勉強会や研修の日程を入れることが恒常化している。「自主勉強会」「自主研修」といいながら、参加しないのはやる気がないからだと人事考課上でマイナス要因とされるため、事実上、休日を潰しての強制参加となっている(意図的にGWやお盆、年末年始などに組まれることもある)。しかも休日出勤手当は「個人の自由意志による参加」という名目なので支給されないことがほとんどであり、この“自発性”が昇進する上での、また“出来るヤツ”の評価を受けるための重要な要素となっている。同様にブラック企業が役所や官公庁から賞状をもらう目的の会社主催の「清掃ボランティア」などの奉仕活動も「社員の自由参加」とはいえ、事実上の強制参加であるケースも少なくない。
- 従業員に父と子もしくは兄と弟、さらには夫と妻のような歪な関係で接することを強いる者がいる(特に住み込みの職場などで多い)。このような人間関係を「アットホーム」「どこの会社よりも人情を大切にする」などと勝手な解釈をしている。そういう所に限って上下関係がとても厳しく、社員のプライバシーや身内の事情にも干渉するケースも見られるという。
- 労働基準監督署や所管官庁の監査、警察の事情聴取が入る。
- 所管官庁との癒着や賄賂などで事前に事情聴取の日程を聞いておき、あらかじめ緘口令を敷くなどの社内対策を行っている。
- 社員が仕事絡みの事で自殺した(うつ病など)、また過労死に倒れたり勤務中に脳卒中などで植物状態になって職場復帰が不可能になったりし、これにより遺族に訴えられたことがある。
- 24時間態勢で稼働する工場や警備業、ビルメンテナンス業などにて交代勤務を取り入れて勤務する場合、3交代ではなく2交代のシフトしか取り入れていないため、極めて不規則な生活となり、体調を崩しやすくなる。
- 無謀な営業目標・賃金体制
- 達成不可能な営業目標を設定し、賃金を意図的に抑制する。「隠れた賃下げ」
- また、社員個人に対しても営業成績の売り上げや件数などの「個人目標」(ノルマ)を設定させ、達成できなければ叱責だけでなく(叱責はまだ良い方)、時に暴力、人格否定の暴言、社員全員の前で屈辱的な行為をさせる、さらには突発的な解雇や人事異動(左遷、閑職)、減給などの非人道的行為を行う。
- 明らかに売れそうになく誰にも好まれそうにない商品、他の店などでは安く買える商品を巧みな話術で売らせようとする。訪問販売などでよく見られる。消費者やそれを販売する社員の立場を無視した経営を貫こうとしている。その結果、営業社員が自社製品(特に健康食品業者や学習教材業者など)を自分や自分の家族名義で自腹で購入したり、保険やリフォームなどの契約を結ぶいわゆる「自爆」行為を事実上強制する。
- 目標を達成していないことを盾に、減給を行う。給与明細上は正しく最低賃金以上の給与は支給されているが、「罰金」などあらゆる名目で控除され、実際上の手取り額としては最低賃金以下の給与分が支給されるケースが多い
- 酷い場合は、給与そのものがマイナスとなって支給される場合もある(つまり給与支払日に口座から引き落とされたり、労働者が雇用者に給与として返納)。
- 営業成績で成績優秀な者には豪奢な商品や旅行などを与える一方、成績不良な者には暴力や屈辱的行為をさせるなどの「アメとムチ」経営
- いわゆる悪徳商法を行う会社や、または数年で急成長を遂げたグループ企業(無謀な営業目標を無理やり達成させていた可能性が高い)などによく見られる。
- 医療や介護福祉など、利益のみを追求する事が相応しくない職種であるにもかかわらず、患者数を増やせ、介護利用者を増やせなどと、あくまでも利益や収益性ばかりを追求する。
- 成果主義や年俸制を「人件費抑制」「賞与・各種手当てを支給しないで済む」という理由で導入し、人事評価もきわめて恣意的で、評価者である上司が難癖をつけて昇給を抑えようとする。一方で幹部の人事評価は甘くなる。
- 成果主義制度や年俸制を導入している会社では、賞与(ボーナス)は「プロスポーツ選手だって年俸制の中で賞与もらってるわけないだろ」という理由で賞与無しというケースも少なくない。
社風
- 従業員の態度が悪い。
- 幹部・管理職の従業員への態度が悪い
- 管理職員が指導と称して暴言を吐いたり、私物(公用でない個人所有の手帳や携帯電話のメールなど)の内容を無断で探る。管理者側は「社員管理の範囲内」としているが、当然プライバシー侵害である。社員のプライバシーは一切無く、上層部に筒抜け。社員の両親や兄弟、妻子を誹謗中傷する場合さえある。更には会社に批判的な社員を上層部に報告させる(密告)システムがあり、報告したものに報奨金などを支払うケースもある。
- 人格を全否定して社員を侮辱し、自分たちに都合の良い価値観を植えつける。極めて稚拙で洗脳まがいな行為。
- 退職を申し出ると暴言を吐いて社員を侮辱したり(幼稚な責任回避)、「給料返上」や「損害賠償」などを口にする。
- 従業員の定着率が悪い。
- 求人広告の頻度が多く、新聞折り込み求人広告やフリーペーパー、ハローワークの常連となっている。求人数が毎回50人や100人などキリの良過ぎる数字で尚且つ、非常に大きい数字である場合、計画的な人材登用を行っているのではなく、無計画に大量採用し、1年以内でその3割以上が退職することを見込んでいるような企業の求人は現従業員に対しての求人数が極端に多くなっている(例:「大量500人採用!」「現従業員200人で求人数が50人」「正社員登用制度あり(昨年度登用実績200人≪この表示では、入社した社員の総数が表示されておらず何人のうち200人が正社員に登用されたのかという割合が分からないため、絶対数の多さだけで判断することはできない。≫」など
- 求人広告において、殊更に離職率の低さ、ないしは定着率の良さを強調する。わざわざ離職率や定着率に触れるということは、実は離職率が高いことの裏返しであることがほとんどである。この様な場で企業が表に出す数字は、試用期間内に退職・解雇した者を含んでいない事が多い(例:離職率の低い会社です!平均勤続年数約1○年→試用期間中の離職者を計算から度外視。実態は約10名/月の退職が常態化している従業員約250名の会社)。
- 社員研修と称し洗脳(強制的説得)を行う。
- 朝礼時や始業前に「社是・社訓」を大声で全員で唱えさせる。「社訓」は「お客さま第一主義」「顧客満足度を高める」「地域や社会に貢献する」「社員は宝、社員の幸せを願う」などともっともらしいが、実際はその逆(詐欺的訪問販売、押売り、特に敵対的買収のような強引なM&Aなどの他社の買収・乗っ取り行為、従業員に対する暴力的指導など)であるケースが多い。
- 徹底的に新入社員を全否定し、その会社にとって都合の良い価値観を強制的に植えつける。
- 常に上の者の言うことが正しいと植えつける(前述の「サル山のサル」体質。黒に見えても上の者が白といえば白、右といえば右、など)。
- 多くの場合、暴言を吐いて洗脳行為が行われるが、時として暴力行為が伴うこともある。
- 陰険な体質を持つ企業や事務方などでは、小声で「うざい」「くさい」「どけ」「目障りだ」「死ね」「殺すぞ」などといった相手の人格を傷つけるような発言をし、人格否定行為が行われる(2007年10月に労働災害認定が為された実例あり)。
- その結果、洗脳された社員は社会的に望ましくない行為を実行する場合でも、何の躊躇も無く平然と実行できるようになる(悪徳商法を行う会社が典型的であるが、テレビCMを流しているような一見普通の企業でも見られる)。
- 上記は昭和時代に典型的に見られた手法であるが、現代においても今なお後進的な企業や悪徳商法を行う会社では実施されている。
- 経営者が社員の思想・良心の自由に干渉し、昇給昇進と引き換えの転向を強要する(東証一部上場の大企業にさえ存在する。訴訟に発展し勝訴した事例がある)。また経営者が信仰している新興宗教などに入信させようとするケースもある。
- 仕事のやり方が不正である。
- 業務関連の諸経費で自腹を切らせる。
- 偽装請負業者を多数受け入れている。
- 仕事を牛耳ることにより権勢を保とうとする者が多い=新人に仕事を引き継がない。 →高離職率。
- 上層部からの情報を部下に展開せず重要情報を独占することにより、部下を牛耳ろうとする管理職が多い。 →業績低迷の一因。
- 「仕事は自分で貰って来い」などと放言し、業務の引継ぎを一切しない。 →従業員が定着しない根本原因。
- 法律や社会規範を遵守する姿勢が欠落している。
- 労働関係の法規以外でも、著作権・特許に代表される知的財産権などの、目に見えにくい他者の権利に対する規範意識に乏しい、あるいは欠如している。さらにはソフトウェアのライセンスを無視するなど知的財産権の侵害が恒常化している。
- 不祥事を隠蔽し、さらに隠蔽することが日常化しているため、社員が社会的に悪いことをしているとの意識を持たなくなる。2007年に相次いで発覚した「食品偽装」問題もこれに含まれる。
- 不祥事や上述のライセンス不正使用などが対外的に露呈して問題になった場合に、経営陣が問題のある方法で責任回避を図ったり、事態の収拾を計る。上層部は「会社ぐるみではない」「一部社員の独断によるもの」などと主張し、末端の社員に責任を押し付けて、解雇などの「トカゲの尻尾切り」で事を済ませようとする
- 例)会社幹部が「トカゲの尻尾切り」で事態を収拾させても、元従業員などがギャラや情報料目当てにマスコミへの意図的なリークや内部告発を行い、会社ぐるみの不正が明るみに出るケースがある。その為、ブラック企業の中には「退職後も会社の内実を口外しません」という誓約書を書かせるケースもある。
- これらの一方で自社の著作権などの知的財産権の保護には過剰と言えるほどに敏感である。さらには自社製品の使用について社内でも細かい内規を定め、使用するには複雑な社内申請が必要であったり、そこから逸脱させない為に従業員同士で密告させ合う様な制度が作られている。
- そもそもが社会から糾弾される様な業種、あるいは商売の手法である。 →悪徳商法も参照。
- 従業員がいつ逮捕されてもなんら不思議ではない商売方法であったり、脱法的な商品を扱っている。
- いわゆる「本音と建前」の様な、およそ旧時代的なサラリーマンの価値観が蔓延している。
- また、高度経済成長期の体質が残っている企業は、休日出勤の明示的ないし暗示的な強制や、付き合いと称して日曜など休日に接待ゴルフなどにつき合わせ、意図的に社員の休暇や家族サービスを妨害する。
- 会社経営陣(ブレイン)と末端の現場との考え方や実態があまりにも掛け離れている。現場の実情を見る事もなく上層部がノルマを押し付けたり、合理化と称して事務所や営業所の統廃合を行う。
- 現場の実情を理解していない上層部の都合や、会計などの数字合わせの為に無茶苦茶な合理化計画が平然と罷り通り、地方の営業所や支店などを突然閉鎖したり、末端部署に無理な人員削減を強いる。
- 社内の意志疎通が不全を起こしてる為、良かれと思って行った内部告発が上部に届かなかったり、内部告発を行った社員に待遇面、人事面で、時には長期にわたって不利益を与えたりする場合が多い。
ブラック企業の求人広告の一例
- 「社員の平均年齢が○歳前後!(大体25~30歳ぐらい)」→離職率が高くベテランがほとんどいない
- 「若い社員にも重要な仕事を任せます」→ 前述のように仕事の指導やアドバイスはなく、ベテラン並に仕事をこなせることを要求される。
- 「明るい雰囲気」→実際は体育会系企業(大声での挨拶や声出し強要、押売りなど精神論中心の営業、上司や幹部社員、先輩社員による暴力が日常茶飯事)であることが多い
- 「アットホームな雰囲気」→実際は上司や幹部が過剰に干渉。またナアナア残業やサービス残業もなし崩し的に行われ、それが恒常化している可能性もある
- 「ノルマ無し」→前述のように実際はノルマ以上の目標を「自主目標」として設定させられる
- 「週末、よく社員同士でボウリングや飲み会をします」→実は強制参加で、家族を持っていようとも断れない。休日も潰して会社主催の懇親会や、休日に幹部会と称して、強制参加の食事会なども開かれる
- 「頑張った分だけ報われる」→当然、無茶な目標をクリアしないと減給させられる
- 「未経験者(初心者)大歓迎!」→実際採用されるのは大半が経験者で、仕事のできない・分からない未経験者はたちまち白い目で見られる。
- 「残業なし」→残業「代」なし。半強制的サービス残業の強要(明示的・非明示的問わず)「先輩より先に帰ってはいけない」「先輩の休日出勤には後輩も付き合わなければならない」などの違法なローカルルールが存在していることがほとんど
- 「若い仲間が多く・・」→若年者の離職率が高い企業体質。実際には高齢者ばかりの三ちゃん農業的会社。斜陽産業・業績不振の企業に多くみられる。
- 「離職率の低い会社です」→求人において殊更に離職率ないしは定着率に触れるということは、本当は離職率が高いということの裏返しである。また、このような企業の離職率は試用期間中の離職者を計算外として誤魔化しているケースが多い。
- 「白髪のお爺さん風の男性や綺麗目な女性の写真、アニメキャラクターの絵が殊更に求人に掲載されている」→求職者を欺いて安心させるため、一見悪いことをしないように思わせるような人物やキャラクターを意図的に写真や絵として掲載している。(お爺さんなら悪いことはしないだろう、お嬢さんなら悪いことはしないだろう、アニメキャラクターを載せるくらいだから寛大なのであろう)→このように思わせる求人は、中身では勝負できず、イメージのみで求人者を募り、過酷な労働環境であることを隠している会社であることを自ら吐露しているようなものであろう。
- 同様に社長と社員が笑顔で語らう写真や、スナップ写真のように若くて綺麗な女性社員がVサインをする求人広告もあり、この企業も勤務内容や待遇で勝負できず、誤魔化している会社が多い(特に英会話学校・教材会社・浄水器の訪問販売などに多く見られる)
- 「所属している社員の都合のいい体験談などを掲載している」→社長からお墨付きをもらった一部の社員による「働きやすい」「実力を発揮できる」「私(僕)の人生を変えた」などの白々しいコメントを載せ、求職者を欺く手段。または、体験談を語ったとされる当人が一切関わることなく会社側が一方的に白々しいコメントを作成し求人誌に掲載させることもある。
- 「マスコミ・出版業界以外であるにもかかわらず、染髪・ノーネクタイ(カジュアルな服装さえある)・ピアス装着などの人物が写真で掲載されている」→社内の風紀(モラル)が低下、または元から素行や性格に問題のある社員ばかりを入社させていると考えられる
- 求人票掲載の職種と実際の職種が異なる。前述のように「一般事務」などと募集を掛けておいて、採用されれば「営業職」に異動させられるなど、ノルマの掛らないような職種で釣っておいて実際はノルマのきつい営業職などに人手不足を理由に異動させられることも多い。
- 同様に、悪徳教材訪問販売会社がよくやる手で、子会社の学習教室で講師募集などと募集を掛けておいて実際は訪問販売の営業をさせるというケースも多い。
- 募集職種にやたらとカタカナ言葉を多用する会社(サービスアドバイザー、アポインターなど)。一見何の職種か分からないような職種は、勤務してみると訪問販売や代理店契約・委託営業(サービスアドバイザー、カスタマーエンジニア)やひたすら電話営業(テレフォンアポインター)など、日本語で表記すれば敬遠される職種をカタカナ言葉で隠しているのである。
その他ブラック企業の特徴
- 面接官が名前を名乗らない。名前を聞いても理由をつけて答えない。
- 面接が一切ないか、通過儀礼化している(大量に離職するためすべて採用する)。
- 採用した直後に、従業員の給与振込み用の口座を尋ねないか、又は従業員に給与のシステム(タイムカード制か歩合制か、など)を一切伝えない(働きが悪ければ、給与未払いの上で解雇させようと目論んでいるため)。
- 会社の表札が出ていない。
- 正社員で募集しておきながら個人事業者として採用する。労災の責任所在を従業員に転嫁(個人事業主扱いなので責任が事業主扱いの従業員にある、とする)したり、社会保険などを会社で負担したくないため。
なぜ飲食店は「ブラック」化するのか?
何がド底辺飲食店を生むのか!?ブラック企業アナリストの新田龍氏に聞いた。
ド底辺飲食の実態に詳しい新田龍氏は、「飲食業には日本の構造的な問題が集約されている」とし、会社、社員、労働基準法の観点からこう分析する。
「まず、会社側の問題としては、とにかく今は安くて長時間営業している店が当たり前となってしまった。そのため、バイトを減らすなど、安易に人件費削減に手をつけてしまい、非人間的なサービス残業を強いられる状況になってしまっています。ダメになったら使い捨て。従業員は部品ですらなく、燃料扱いをされてしまっているんですね」
なかには、留学生を日本語を学びながら働く名目で“研修生”とし、安い時給でこき使っている飲食店もあるのだとか。また、激安店だけではなく、流行のコンセプト飲食店も問題をはらんでいる。
「コンセプト系の飲食店では新しいものに飛びつく客の好奇心を満たすため、サービスが過激化していく傾向があります。最初は単なるコスプレだったのが水着に、そしてお触り可に、と。女子高生を水着で接客させたとして、『ももじろうグループ』の経営者らが逮捕された事例ありました」
それだけ聞くと、従業員たちは被害者のようにも思えるが……。
「一方で、社員にも問題があります。飲食では、大量採用が当たり前で、学生時代に努力をしていなかった社員がたくさん採用されるため、一部の店舗は吹きだまり状態。就職難で、高学歴社員も入社するようになりましたが、ド底辺社員のレベルや業務内容に絶望し、すぐに辞めてしまうんです」
また、労働基準法の存在も、悲劇を生む要因の一つなのだという。
「長時間労働なくしては成り立たない業界なのに8時間で設定されると、残業代がかさみ、結果、サービス残業を求めることになります。だから、8時間縛りを廃止し、長時間働くことに同意した従業員に、ちゃんとした対価を支払うようにしたほうが、労働環境はかえってよくなるはず。労基法は違反をしても、自殺などのニュースにならない限りは大きなペナルティにならないことも問題でしょう」
体験者の情報発信
従来から、労働現場における劣悪な状況、企業の問題ある実態を暴露する書籍や論文等はあったが、インターネットコミュニティが発達する中で、劣悪な労働環境や違法行為の横行を体験した経験者が、自らの言葉で具体的な情報の発信をするようになっている。また、いわゆる内部告発法が整備されたように、告発した者が保護されるシステムの構築が多少は図られている。
また、マスコミを利用して大企業などの悪質な労働条件や製品の不正行為の告発を行う場合、主に共産党の「しんぶん赤旗」、または「週刊金曜日」が利用される事が多い(「しんぶん赤旗」は非共産党員からの告発も受け入れており、非党員による告発の投稿も見られる)。これは一般紙、雑誌、放送局等はスポンサー・企業広告などで取引を持っており、余程に隠蔽が不可能な状況でもない限りは出稿者の機嫌を損ねるような記事は出せないためである(裏を返して言うならば、一般紙や雑誌、放送局が口火を切って報道する様な問題とは、一般社会や警察、所轄省庁などの関心を広く集め、企業は否応なく広告やコマーシャル、更に悪くすると企業活動自体を自粛しなければならなくなる程の事態である事が多い。この場合、企業の存亡が直接左右されかねないほどの重大あるいは悪質な問題であるという事も多く、事態の表面化は経営の根幹を揺るがす大きな打撃となる)。
もっとも、この様な情報発信は氷山の一角であるとも言え、離職者や周辺住民の多くが会社の名前を口にするのも嫌がる、あるいは会社の存在自体を「無かったこと」として扱っている様な、「超絶」レベルのブラック企業というものも存在している。
現役ブラック企業社長が、社員を安くこき使う華麗な手口を暴露
給与、勤務時間、休日など労働条件が労働法に違反している、もしくはその企業が行っている事業そのものがなんらかの法令に違反しているなど、決して他人に入社を勧められない企業のことを「ブラック企業」という。そんなブラック企業の実態に迫ってみた。
入社して、この会社おかしいと思ったなら?
どのような会社でも、入社前、外からでは、その内情をうかがい知ることはできない。では、もしブラック企業に入社してしまった場合は、どうすればいいのだろうか。できるだけ早く、まっとうな企業に転職するしかないだろう。決して我慢して長く勤めようと考えてはいけない。
なぜなら、そもそもブラック企業の経営者は、社員の人生を背負っているという発想がないのだ。労働の対価である給与もできるだけ安く抑え、なんだかんだ理由をつけて、踏み倒すことさえ厭わない。
事実、従業員30名程度を擁するあるIT企業経営者のA氏は、自らをブラック企業経営者と認めたうえで、「従業員は敵だと思っている。いかに安くこき使い。文句を言わせず、上手に辞めさせるかだ」と言い切る。従業員サイドに立ってみれば、こんな企業に長居し、忠誠を誓ったところで人生を空費するだけだ。
A氏は採用時、労働時間、待遇などに文句を言わず、黙々と働きそうな「使い勝手のいい人材」のみを採用するという。A氏に詳しく話を聞いてみた。
使い勝手のいい人間を採用して、こき使う
「使い勝手のいい人材」の基準というか、見分け方は?
A氏「人の上に立とうとか、そういう野心がない人間。人に使われるしか能のない人間だ。学歴はあまり関係ない。真面目で、人を疑うことを知らず、そこそこ育ちがよくて、素直に人の言うことを聞く、それでいて責任感が強いかどうかだ。」
御社における社員の待遇は? 給与や、勤務時間、休日などを教えてください。
A氏「給与は月に13万5000円。残業代はない。勤務時間は一応、朝9時から夕方5時まで。昼休みも1時間ある。しかし社員はみんな、自発的に朝は8時には会社に来ている。夜も自発的に終電に乗れるまでは働いている。泊まり込みも自発的に行ってくれている。月2回は土曜日も出勤。そうしないと仕事が回らないからね。」
本当に、それだけの勤務時間を要するほどの仕事があるんですか?
A氏「ない。意図的に「仕事のための仕事」をつくって、長時間働かせているだけだ。」
なぜ、そのようなことを?
A氏「長時間働かせ、ピリピリした社内の空気に長く触れさせることで、余計なことを考えさせないようにするためだ。今の言葉でいえば「社畜」というのかな。そうすることが目的だな。」
それにしても、条件面ではかなり厳しいですよ。社員の方は文句を言わないですか?
A氏「文句を言うような人間は採用していない。文句や不満を言わせないよう、社内の雰囲気を日頃からつくっている。また最初にガツンとやっているので、社員から不満だの文句だの出ない。」
最初にガツンとやるとは、どういうことをやるのですか?
A氏「仕事でミスがなくても、些細なことで厳しく叱責する。そしてそれをしばらく続け「このような仕事ぶりでは給与は払えない」と言う。「お前はこんなにミスが多いが、それでも給料を払ってやってる」と刷り込む。つまり経営者である私を怖いと思わせることだね。」
ミスは徹底的に責めるというわけですね?
A氏「ミスに限らない。勤務時間中の私用メールや電話、新聞など読んでいても「私用」としてどやしあげる。これで社員へのにらみは利く。もっとも、褒めるときには褒める。「アメとムチの使い分け」も重要だ。」
劣悪な環境に慣れさせて、たまに優しくする
このIT企業経営者がいう「アメとムチ」は、劣悪な環境、雰囲気に慣れさせ、たまに優しくすることで、社員の喜びをくすぐるというものである。
例えば、この企業では、労働基準法で定められた休暇の取得すら、一切認めていない。休暇が認められるのは、風邪をひいたなどの病欠時のみだ。この部分がムチである。
ただし、たまに仕事量が少なくないとき、1000円程度の昼食をおごる、3000円程度の夕食をおごり、早めに帰す……これがアメだという。A氏は、「日頃から厳しくしている分、たまにある『アメ』の部分で、社員は自分が認められていると思い込む。その心理につけ込むというわけ。これで社員は私の言うことを聞く」という。
引き続き、話を聞いてみよう。
もし社員が、労働基準監督署にでも告発したら?
A氏「そういうことを考えさせないために、仕事を増やし、拘束時間を長くし、にらみを利かせてプレッシャーをかけている。」
社員が定着しないための環境づくり
長くいる社員の方は、やはりその方が定年を迎えるその日まで、大事にされるおつもりですか?
A氏「それはない。年齢が高くなれば、それだけ給料も上げなければならない。長くてもせいぜい5年、できれば3年くらいで出て行ってもらいたい。」
誰しも、せっかく就職した会社を3年から5年で退職したいとは思わないでしょう?
A氏「それは居心地がいいところなら、それでもいい。しかしうちは、まだまだそんな居心地のいい会社にできる余裕もなければ、するつもりもない。3年から5年で自発的に辞めてもらう。」
皆さん、そのくらいの期間で都合よく辞めてくれるものですか?
A氏「1年目、2年目で、とにかくどやしつける。ただし、少し仕事を覚えてきたら褒める。この頃が一番使い勝手がいい。でも、仕事の振り分けで、うちに長居しても同業他社で通用しそうなスキルなどは絶対に身につけさせないようにしている。それに本人が気づいて、休暇も認めていないので、転職するにはうちを退職するしかないと気づかせるのです。もちろん自発的に退職するときには、盛大な送別会はする。それが退職金代わりになるというわけだ。」
古株で、仕事を覚えているような方の場合は、どうやって辞めさせるのですか?
A氏「仕事の面で無視する。使い勝手がよくなると、ある程度権限を与えて、新人の指導もさせているが、些細なきっかけでいいので、新人の前で叱りつけ、それまでの権限を取り上げる。これで普通は辞めていく。」
起業家として、そうした経営に思うところはありませんか?
A氏「まったくない。今は一人一人が経営者という時代だ。社会保険料まで、こちらが支払って、その恩恵を受けているのだから、それで十分だろう。嫌なら自分が経営者になればいい。企業経営とは、従業員をいかに効率よく働かせるかだ。もっともそれは社員のためではなく、私の会社のためだ。そこを履き違えてはいけない。」
さっさと見切りをつけるにしても
これでは、とても企業として発展するとは思えないのだが、ある経営コンサルタントは、こうした経営姿勢について「確かに発展はしない。しかし経営を維持するという面では、あながち間違いではない」という。
また、こうしたブラック企業、経営者の下で働いた経験のある人は、「少ないながらも貯金ができて、退職し、失業保険で食いつなぎつつ、再就職に向けた活動を行うと、労働基準監督署に告発しようという気もうせた」と話す。
もしブラック企業に入社してしまった場合、さっさと見切りをつけて退職したほうがよさそうだが、一歩間違えればドツボにハマる可能性があるという。ある労働基準監督官は、次のような本音を漏らす。
「早期退職で、きちんと仕事をしていない……、ゆえに会社に迷惑をかけたなどの理由で給与の支払いを拒んだり、逆に違約金を支払えという企業もある。あまりに労働者側に立った労働基準監督行政を行い、企業を閉鎖、倒産に追い込むと、それはそれで問題となり、我々もそうしたことを嫌う傾向がある。どのような仕事でも、給料をもらえる仕事をしている以上、従業員側が耐えてもらいたいというのが本音」
遅刻部下に頭からヤカン熱湯、さらに殴る蹴る
勤め先の部下の遅刻に腹を立て、頭に熱湯をかけてやけどを負わせるなどしたとして、滋賀県警大津北署は2012年5月9日、草津市追分町、不動産業田口章太容疑者(29)を傷害容疑で逮捕した。
発表によると、田口容疑者は2月19日午後6時~8時45分頃、当時勤めていた大津市本堅田の清掃会社で、同日朝に遅刻した部下の男性社員(25)に、ストーブにかけていたやかんの熱湯を浴びせて頭に中等症のやけどを、素手で殴ったり足蹴にしたりして顔などに打撲傷を負わせた疑い。田口容疑者は当時、副業として清掃会社でも働いていた。
残業代未払い求めるドライバー「人間不信に陥る」
「人間不信に陥るよ」。
それまで不平不満も言わず、まじめに働いていたドライバーがある時、急に態度を変える。トラック業界における労使トラブルでよく耳にする話だ。
決して労働環境が整備されているとはいえない業界にあって、こうしたトラブルはいま、現場で頻繁に起きている。今回、当事者となってしまった東京都内の事業者も、「話に聞いていたが、まさか自分がという思いだ」と打ち明ける。
「不平不満も言わず、まじめに働くいいやつだ」。
社長が最初に受けた印象で、何事もなく半年が過ぎようとしていたが、それまで何も言わなかったドライバーが有休を取りたいと申し出てきた。代わりのドライバーを用意するだけの余裕はない同社にとって、有休とはいえ休みを取られるのは痛手だ。社長は状況を説明した上で、苦肉の策として、有休を買い取ることで了承を得ようと試みた。
一時はそれでしのげたが、そのドライバーの態度は徐々に悪化。何かといえば不平不満を口にする。見かねた同社長が注意しても、態度は変わらない。
対応に苦慮していた時、新たな問題が起きる。残業代の未払いを要求してきたのだ。払えないと諭すと、今度は弁護士を伴って荷主へ駆け込んだ。
同業大手の仕事をしていた同社は、荷主からその事実を聞かされ慌てた。
後でわかったことだが、ドライバーは入社してから、すべての日報をコピーして保管していたのだという。確信犯だった。残業代の請求は500万円に上ったが、労働調停で妥協案を示し、半分の250万円で解決を図ったという。
“ブラックアルバイト”も問題化「売れ残り買わす」「試験前でもサービス残業」絡め取られる学生たち
ブラック企業対策プロジェクトが製作した冊子。企業の募集要項で注意するポイントなどを解説している。ブラック企業の問題はすでに認知されているが、新たにアルバイト学生を食い物にする「ブラックアルバイト」という言葉も使われ始めている。
就職先だけでなく、アルバイトの現場にも「ブラック企業」の影が忍び寄っている。若者をターゲットにしたブラック企業が社会問題化する中、違法な働き方で学生を使い捨てにするアルバイトが“ブラックアルバイト”と呼ばれ、新たな問題として浮上している。
契約内容と違う過度に責任の重い仕事を押しつけたり、長時間労働をさせたり…。
学費の高騰や親からの仕送りも少なくなり、なかなかバイトをやめられない学生が、違法な働き方を強いられ、やがて心身を病む。期待に胸を膨らませ、新生活をスタートさせた学生までもがブラックな職場の餌食になるという、まさに負のスパイラルが広がっている。ブラック企業を避けようとするあまり、イメージや評判を過度に気にする傾向も年々強まっており、景気の回復を受け雇用情勢は上向き傾向といわれるが、若者たちを取り巻く労働環境には依然、不透明感が漂っている。
「希望を無視してシフトを組まれ、試験前でも休ませてくれない。サービス残業もさせられる」
「売れ残りの商品を買わされる。連絡メールにすぐに返信しないと、給料が減らされる」
「初日から先輩のバイトに怒鳴られ、ミスをすると暴力を振るわれる」
支援団体やインターネット上には、ブラック企業で働く新入社員と同様、劣悪な職場環境で悩む学生からの悲痛な声が寄せられている。学生たちを悩ませる「ブラックアルバイト」とは何か。
労働問題に詳しい井上幸夫弁護士(第二東京弁護士会)によると、特徴的なのは、(1)労働時間に見合った給料を支払わない(2)仕事のミスに罰金を科す(3)上司が怒鳴ったり暴力を振るったりする(4)最初の契約に反して、授業や試験に支障が出るような働かせ方やシフトを命じ、長時間働かせる-の4点で、このうち1つでも該当すればブラックアルバイトだと考えてよい、という。
井上弁護士は「学費が高くなり、生活苦でバイトをせざるを得ないケースや、上司から『辞めたら約束違反で罰金を取るぞ』といわれたことを本気で信じるケースがあり、すぐに辞めることができない若者が多い」と指摘する。バイトに重要な仕事を任せるところも多く、責任感が強くまじめな若者ほど簡単に辞めることができない状況に陥っているそうだ。
では、ブラックアルバイトに当たってしまったらどうすればよいのか。
最もよいのはもちろん、すぐに辞めること。だが、それが簡単にできない場合、近くの労働基準監督署に相談するのも手だ。残業代の不払いや罰金などの労働基準法違反を申告すればアルバイト先に指導が入る。
違法な働かせ方をしているにもかかわらず、「辞めるなら違約金を払え」などと言って辞めさせないアルバイト先には、「『今日で辞めます』の一言でいい」と井上弁護士は話す。契約期間の途中であっても、初めに提示された労働条件が実際と違う場合には、即座に契約解除ができる。辞めてから労働基準監督署に申告し、不払いの給与を支払わせることも可能だ。
井上弁護士は「おかしいと思えば、1人で思い詰めずに、親や友人、先生や労働問題に詳しい団体や労働基準監督署に相談し、アドバイスを受けてほしい」と訴える。
このような状況に甘んじてしまう背景には
- 正社員または契約社員が行うべき業務を、アルバイトで代用している(長期不況に伴う高校卒業者向け求人の激減と大学全入時代の到来に伴って大学進学率が上昇し高卒で就職する者が減少したため、以前は高卒の正社員が行っていた業務を大学生のアルバイトで代用するというケースが増加したのが原因)
- 社会経験のほとんどない労働者の知識不足につけ入る(特に法律面の無知など)
- 労働者の資金難(仕送り減、就活費用など)
- バイト・フリーター間の競争激化による再雇用が難しい現実
などがあるという。またアルバイトに対する年長者の意識に「嫌なら辞めればいい」「バイトは気楽」といったジェネレーションギャップがあるため、学生たちの苦境が伝わりにくいとも指摘されている。
一方、支援団体などには例年、連休明けに、新入社員の若者から相談が寄せられ始める。入社したばかりで張り詰めていた緊張の糸が、5月ごろになるとゆるみ、「うちの会社はおかしいんじゃないか」と冷静に考えるようになるという。
「休みが入社してからずっとない」
「『バカ。もっとできる奴だと思っていた』などといつも怒鳴られ、仕事を続ける自信がない」
若者の労働相談を受け付けるNPO法人「POSSE」のもとにも5、6月ごろからこうした相談が寄せられる。担当者は「4月はただ働きで酷使されても頑張ってみようと思っていた新入社員も、5月に入ると段々心が折れてしまう」と分析する。
就職後も若者の相談に職員が応じている厚生労働省の「あべのわかものハローワーク」(大阪市阿倍野)でも状況は同じだ。
相談が増えてくるのは毎年、5月以降。1番多いのは職場の人間関係だという。担当者は「同期が少ない場合、1人で悶々と悩み落ち込む人もいる」と指摘する。
「また担当が変わったの?」。取引先からこう言われ、先輩たちの入れ替わりの激しさにとまどう若者から「うちはブラック企業かもしれない」と相談が寄せられたこともある。担当者は「安易なイメージで企業を選び、想像と違ったとすぐに辞めてしまう若者もいる」とため息をつく。
ブラック企業問題が広まるにつれ、若者の間では就職先を選ぶ際に企業の評判を気にする割合いが年々、高まっている。
日本生命保険が2013年7月、民間企業や官公庁に勤務、内定している20代の若者1043人にアンケートしたところ、職場の労働環境や早期退職率が高くないかなど企業の評判について、「気になった」と答えた内定者は29.4%、「少し気になった」が47.1%で、「あまり気にならなかった」「気にならなかった」の計23.5%を大きく上回った。
気になったと答えた内定者のうち、52.9%が評判を調べるため、就職を目指す企業の名前と「ブラック企業」のキーワードでネットで検索していた。さらに、「インターネットなどで口コミ情報を収集」していた割合いも48.1%だった。
アンケートからは、若者が安心して働ける環境を求める傾向が強くなったことを示しているが、同時に客観的な数字より、漠然とした情報が錯綜するネット情報に頼っている現状も色濃く浮かび上がる。
弁護士や専門家などが連携して発足した「ブラック企業対策プロジェクト」(東京)は「若者は企業のイメージに惑わされずに離職率や募集要項に記載された労働条件など客観的なデータをしっかりと見て判断しなければならない」と強調。大学生向けのガイド本『ブラック企業の見分け方』や『企業の募集要項、見ていますか?』と題した冊子を製作し、冷静な就職先選びを促している。
まるでカルト教団。「働きがい」洗脳でうつになった女性
「つまらない」と思いながら鬱々と働くより、やりがいや自身の成長を実感しつつ働くほうが幸せ。でも、だからといって、「働きがい」さえあれば長時間労働でも低賃金でもいい、というのは違います。
ITベンチャーに転職した20代の女性。入社時の研修で企業理念を説かれ、「感動した」という。
「ビジネスにはルールがあります。会社では社外のルールは通用しません」
「労働とは苦役のことで、お金のために働くのは本来奴隷のやること。みなさんは、働くことを通じて心身を成長させる『勤労』をしなければなりません」
大学を卒業して最初に入った会社では、「軍隊のような研修」を受けてうつになり退社。「ブラック企業だった」と思っていたはずなのに。2社目となるこの会社で研修を受けるうち、「前の会社に適応できなかったのは自分が会社のルールを理解していなかったから。一体感を持てなかったんだ」という気持ちになったという。
研修は1カ月続いた。朝8時から夜11時半まで拘束されたのに、この間は無給。業務がスタートした後は、サービス残業を強いられた。「お金のために働くのは奴隷。自分は違う」と思うと、残業代は請求できなかった。「上司の言うことは絶対」と半ば洗脳されて、セクハラも我慢した。研修では「会社のルールを知らない親や友達の言うことを聞くな」とも刷り込まれたので、誰にも相談できない。3カ月後には再びうつ状態に陥り、いまも休職している。
女性から相談を受けたNPO法人POSSE理事の坂倉昇平さん(30)は言う。
「これは明らかなブラック企業ですが、彼女は働いている間はブラック企業だとは感じていなかった。ポイントは、入社前に持っていた価値観をはぎ取り、『働くのはお金のためではなく、お客さまや自分の成長のため』などの理屈を押し付けること。『働きがい』を掲げてサービス残業や滅私奉公を正当化し、従業員を使いつぶす。この会社ではまさにカルト教団のような『洗脳』がおこなわれていました」
ブラック企業ランキング
劣悪な企業を順番に並べた「ブラック偏差値ランキング」なるもの([1])も、インターネットコミュニティ等で作成されている。
精神をやられやすい男性の職業
1位 ブラウザゲーム・スマートフォンアプリのプログラマー
現代の“花形職業”のひとつですが、そのぶん納期も厳しく、毎日終電などということも珍しくありません。また、新興のベンチャー企業が多いせいか、賃金が安かったり社会保険などの福利厚生が整っていなかったりと、悪い条件が重なっています。離職率が高い職種のひとつに挙げられているほど定着率も低く、うつなどの精神的な病を患って退職していく人が後を絶ちません。
2位 クライアント常駐型SE(システム・エンジニア)
“IT系ブラック企業”と呼ばれている会社も多いSE派遣業界。基本給が低いうえに残業代が支給されなかったり、就業時間終了後に会議が始まったり、残業で会社を出るのが終電ギリギリならば早い方だったりと、過酷な環境を強いられている場合がほとんどです。就活サイトや求人誌にいつも求人広告を載せていたりするような会社の場合は要注意です。
3位 パチンコ店社員
最近は環境改善が進んできたとはいえ、あの騒音とたばこの煙の中で終日過ごしているわけですから、楽な仕事ではありません。給与相場もピーク時より下がっているので、“稼げる”というイメージも陰りつつあります。アルバイトならば勤務日数や日勤・夜勤のシフトが選べる可能性がありますが、社員はほぼ例外なく昼夜2交代制で、休みは週1回程度です。勤続年数が長ければ出世できる可能性が高い業種と言えますが、そのぶん上司に粗暴な人が多かったり、経営者が裏社会関係者だったりと、気の休まるような職場とは言えません。終日重たいパチンコ玉やメダルを運んでいるので、腰痛を患う人も多いようです。
4位 コールセンター管理者
顧客からの高度な質問やクレーム対応など、職務内容そのものもメンタルにダメージの出やすい仕事ですが、コールセンターの管理者の場合はそれ以上に、“職場の女性比率が高い”ことがなおさら彼らの精神をむしばんでいきます。女性スタッフ同士の派閥争いをなだめたり、言われなき噂に耐えたりするのは日常茶飯事。マトモな神経を持っている男性は例外なく体調を崩します。平然としていられる男性管理者は、よっぽどタフか鈍感か、というところです。
5位 外食系チェーン正社員
もちろん一概には言えませんが、某居酒屋チェーン店では過労死も発生したほど、職場環境はおおむね劣悪の極みです。料理や飲み物を低価格で提供するために人件費をカットし、その分従業員を酷使したりするので、フィジカルはもとよりメンタルをやられてしまう人が続出しています。
6位 家電量販店
外食チェーンと異なり、正社員だけでなく派遣社員でもかなり厳しい職場です。従業員を使い捨てるようなこともしばしば。体育会系色が根強く、脳味噌まで筋肉でできているような頭の固い中高年層が幅を利かせていることも多いので、若い男性にとっては特に苦痛の絶えない業種です。
7位 小学校・中学校教師
子供の多様化やモンスター・ペアレントと呼ばれる常軌を逸した保護者への対応に追われ、気づかないうちに精神を病んでしまう教師は少なくありません。最近、大津市の中学校で発生したいじめ問題が連日のように報道で取り上げられていますが、教育委員会という旧態依然とした組織にも大きな問題があり、現場の教師への圧力となっていると言えます。
8位 自営業・個人事業主・零細企業の社長や代表
いずれも、この不況下でやりくりに七転八倒している人々です。明日をも知れない日々を送っているので、精神的には相当きつい状態です。リーマンショック以降に独立した人よりも、それ以前の好景気を知っていて今苦しんでいる人のほうが、“よい時代”を知っている分だけダメージは大きいと言えるでしょう。
9位 自衛隊員
いざという時には私たちを守ってくれる存在ですから、それだけに日々の訓練は相当に厳しいものです。鍛え上げられた隊員はもちろんタフな人たちですが、タフになる前に肉体的・精神的に参ってしまう人も少なくありません。世代が若くなるに連れてその傾向は増すようです。
10位 原発作業員
今、世界で最も過酷で恐ろしい環境下で仕事をしている人たちではないかと思います。彼らは放射能という見えない恐怖を感じながら、日々の作業を行っているのです。しかも、多くの作業員は日雇いや下請け会社などの方々で、原子力の専門家でさえありません。危険な環境下で働いているにも関わらず、給与はそれほど得られていないという証言も出ています。現職の作業員のみならず退職した人たちにも、カウンセリングなどの心のケアが必要だと言われています。
政府が「ブラック企業」の名前を公表!? 問題解決につながるか
いわゆる「ブラック企業」の対策として、社名の公表も含めて検討すべきだとする意見があがっている 過剰なノルマを要求したり、低い賃金で長時間労働させるなどして、従業員を使い捨てにする企業のことを俗に、「ブラック企業」という。もともとは、若者中心に使われはじめたスラングだったが、最近では一般にも浸透する言葉になってきているようだ。
インターネットの掲示板では、このようなブラック企業を批判するスレッドが多数存在しており、なかには、「ブラック企業ランキング」というタイトルがついているものもある。そこには日夜、特定の企業名が挙がり、その従業員や退職者と思われる人から過酷な労働実態についての書き込みが行われている。
もちろん、これらの書き込みすべてが信用できるものではない。だが、ブラック企業の存在が身近なものとなりつつあることは間違いないだろう。このような状況の下、自民党はブラック企業対策として、社名の公表も含めて検討すべきだとする提言をまとめた。今夏の参院選の公約にも反映させる方向という。
はたして、行政がブラック企業の名前を公表することで、問題の解決につながるのだろうか。労働問題に詳しい岩城穣氏に聞いた。
「ブラック企業の名前を公表することは有意義である」
「悪質な『ブラック企業』の会社名を公表することは、その企業を社会的な批判にさらし、改善を促すことができます。また学生などが就職するに際しての判断材料となり、有意義なことといえるでしょう」
このように公表の意義を語る岩城弁護士によると、「これまでも、違法行為を行ったり、社会問題を引き起こした企業は、行政機関によってしばしばペナルティを科されたり、企業名を公表されている制度がある」という。
「たとえば、建設現場などで重大な労働災害を発生させた企業は公表され、公共工事の指名競争入札に一定期間参加できなくなります。ほかにも、産地偽装を行った食品会社や耐震偽装を行った設計事務所なども公表され、行政処分などの制裁を受けることになります」
公表にあたっては、「ブラック企業」の具体的な基準が必要となる
では、ブラック企業の公表はどのような形で行われるのがよいだろうか。
「そもそも、『ブラック企業』という言葉そのものは、『悪徳企業』や『ならず者企業』と同じような抽象的なレッテルに過ぎません。
したがって、『ブラック企業の名前を公表する』と言っても、『どのような場合がブラック企業に当たるのか』といった具体的な基準が必要になります。とりわけ政府が発表するとなれば、誰もが納得できる、明確な基準が必要でしょう」
岩城弁護士はこのように指摘する。では、ブラック企業の具体的な基準はどのようなものになるのだろうか。岩城弁護士は、現時点で考えられるものとして4つの例をあげる。
(1)違法な時間外労働や時間外手当の不払いについて、労基署から是正勧告を受けたこと(労基法違反)
(2)労働者の死亡が長時間過重労働やパワハラなどによるものであったとして、労基署から労災と認定されたこと(過労死・過労自殺の労災認定)
(3)上司等が違法なパワハラ・セクハラを行ったことについて、裁判で会社の責任が認められたこと(労働契約上の債務不履行責任、不法行為責任)
(4)従業員に対して暴行、脅迫、傷害、逮捕監禁、強要、違法行為の教唆などを行ったことについて刑事事件として摘発されたこと(犯罪への関与)
「(1)~(4)について、マスコミが自主的に取材して報道する場合は別として、政府や労働基準監督署(労基署)がこれらの事実を公表することはほとんどありません。もっとも、(1)のうち労基法違反が刑事訴追された場合に、労基署は公表することがあるようです。
しかも、(2)については、過労死を出した企業名について市民が労働局に情報開示請求をしたところ、労働局は「開示しない」との決定を行いました。これに対して、その不開示処分の適法性をめぐって現在、行政訴訟が行われています。
大阪地裁判決(2011年11月10日)は原告勝訴(不開示は違法)、大阪高裁判決(2012年11月29日)は原告敗訴(不開示は適法)と、まったく正反対の判決が下され、現在、最高裁の判断待ちとなっています」
このように実際の裁判を引き合いに出した上で、「自民党などが現在検討しているブラック企業名の公表の動きは、最高裁の判断にも大きな影響を与えると考えられます」と岩城弁護士は話している。
ブラック企業対策プロジェクト
ブラック企業対策プロジェクトが作製した大学生向けの冊子。鬱病による休職も認められず、解雇されてしまったなどという若者たちの叫びはやむことはない。
「バカ!日本語分からないのか?」
「根本的に性格が悪い」
罵声を浴びながら働き、やがて心を病む。鬱病となり休職しようとすると、即日解雇を言い渡される。違法な長時間労働などで若者を使いつぶす「ブラック企業」。
ブラック企業とは、主にIT業界の劣悪な労働環境を指す言葉として使われていたが、今や外食、介護、保育などさまざまな業界にはびこるようになった。過剰労働で心身を病んだ若者は、不安定なアルバイトや、生活保護費の受給に頼らざるを得なくなるという「負のサイクル」も回りはじめている。そして最悪、過労死や自殺に追い込まれたケースもある。若者を取り巻く雇用環境の改善は急務だ。官民も連携して一刻も早い「ブラック企業包囲網」を敷く必要がある。
パワハラで鬱病、即解雇
ブラック企業で働き、苦悩する若者の「悲痛な声」は後を絶たない。特に、介護施設などでは少子高齢化による人手不足から若者を大量に採用し、過重な労働を課す傾向にあるようで、労働組合やNPO法人には深刻な相談が寄せられている。
「バカ!日本語分からないのか?お前、頭おかしいぞ」
東京都内の介護施設で働く20代後半の男性は、所長から毎日のように怒鳴り散らされるパワハラに遭い、鬱病となった。長時間労働や残業代未払いなども当たり前。月に100時間近く残業していたが、これまで1度も残業代が払われたことはない。
「能力が低い」
「根本的に性格が悪い」
利用者や同僚の前で人格否定の言葉を浴びせられるのも日常茶飯事だ。心療内科で処方された薬を飲みながら勤務を続けたが、心身ともに限界に。2013年9月、病気を理由に休職を申し出た。返ってきた言葉はこうだった。
「病気になったのはお前が悪い。会社のせいではない。迷惑だ」
そして、即日解雇を言い渡された。男性は労働相談を手がけるNPO法人に相談。現在は施設に対し、過重労働で体調を崩したことへの労災補償を求めている。
「福祉は尽くしてナンボ」
関東地方の障害者施設で働く20代の男性も「もう辞めたい…」と劣悪な労働環境に苦悩する。15人ほどいる従業員のうち、年に3、4人が辞めていき、慢性的な人手不足が続く。
時間外労働は月120~150時間に及ぶが、残業代は出ず、毎月手取り約18万円が支払われるだけだ。残業代について施設長に聞いたことがあった。施設長はこう言い放ち一蹴した。
「何言ってんだ。福祉は利用者に尽くしてナンボの仕事だろう」
1日5本ほど栄養ドリンクを飲み仕事をする。夜勤明けで車を運転していると、睡魔に襲われ対向車線に出てしまったこともある。
「とにかく残業代を支払ってほしい。いつも眠く、体調も悪い」男性は職場環境を改善しようと労働組合に相談している。
被害は社会全体に波及
連合のシンクタンク、連合総研が2013年10月に民間企業で働く2千人を対象に実施したアンケートによると、20代の23.5%、30代の20.8%が、自身の勤務先がブラック企業に当たると考えていると回答。多くの職場で違法な働かせ方がはびこり、不信感を抱く若者の実態が浮き彫りとなった。
若者の労働相談を行うNPO法人「POSSE」(東京都)の担当者は「ブラック企業に関する相談は、昨年は500~1,000件だったのが、今年は1,500~2,000件ぐらい。それだけ過重労働で悩み、心身を壊している若者が増えたということ。以前は、相談もせずにひたすら自分を責める若者もいた」と話す。
ブラック企業で心身を壊し、働けなくなった若者が生活保護費の受給に至ってしまうという負のサイクルもできあがっている。
担当者は「ひどいパワハラや過重労働で鬱病になっても、企業側が自己都合退職を迫り、労災補償も受けられず、生活保護に頼らざるを得ない若者が出ている」と指摘。「ブラック企業の蔓延は、当事者である若者本人の人生が破綻するだけでなく、労働力の低下や社会保障費の増大にもつながる。被害は社会全体に及ぶ」と警鐘を鳴らしている。
待ったなしの対策
厚生労働省は2013年から、全国一斉で無料の電話相談を受け付けたり、インターネット上の専門サイトや、セミナーを通してパワハラの予防を呼びかけたりといったブラック企業への対策を加速させている。
各地の労働基準監督署では2013年9月以降、従業員などからの苦情や通報を端緒に、離職率が極端に高く、ブラック企業と疑われる約5千社を対象に集中的に指導監督を実施。2014年度には無料の電話相談を民間に委託する形で、夜間や休日にも拡充する方針だ。
さらに、東京、名古屋、大阪にある「わかものハローワーク」では2014年度、離職しようか悩む若者の相談に職員が応じる専門窓口を常設する予定。「在職してても相談できる場所を作ることで、若者を使い捨てにするような会社への対応はもちろん、若者がささいなことで安易に会社を辞めるのを防ぐことができる」と厚労省の担当者は期待する。
一方、民間では昨秋、労働問題に詳しい専門家らが連携して「ブラック企業対策プロジェクト」を発足させた。ブラック企業に関する情報発信や若者へのサポートを行うのが目的で、ブラック企業の相談を受けてきた労働組合やNPO団体、弁護士らがメンバーに加わっている。
ブラック企業に対する過剰な不安や警戒感を募らせる若者たちが増えているため、就職活動での不安を少しでも解消してもらおうと、「ブラック企業の見分け方」と題した冊子を作製。企業のイメージに惑わされず、離職率など客観的なデータを読み解く必要性や雇用契約の際に気をつける点についてアドバイスしている。
担当者は「ブラック企業かどうかを100%見抜くのは難しい。ただ、漠然とした不安を抱えている若者にとって、(冊子が)少しでも手がかりとなればいいし、在職中に自身の身を守るためにも役立つ労働の知識を提供したい」としている。
「売り上げ厳しくて…」給料10カ月分払わず。神戸の会社を書類送検(2014年3月)
従業員に給料を支払わなかったとして、神戸西労働基準監督署は25日、最低賃金法違反容疑で、神戸市西区森友の金属製品販売業「メディコム」の男性社長(66)と法人としての同社を神戸地検に書類送検した。
社長は「売り上げが厳しく払えなかった」と容疑を認めている。
書類送検容疑は、同社事務員の60代の女性に対して、平成24年9月から平成25年7月までの10カ月分の給料216万円を支払わなかったとしている。
同労基署によると、事務員への給料未払いは平成23年1月ごろから始まり、総額370万円に上るという。同社は25年7月に事実上の倒産状態になった。
すき家「時給1375円にしても人が集まらない!深夜業務を一人に全部押し付けるブラックワンオペの実態がバレて誰もバイトにこない!」(2014年4月)
人手不足が外食、小売り、運輸など幅広い業種に広がっている。働き手の減少という構造的な要因に加え、景気の回復基調でパート・アルバイトの奪い合いが起きているためだ。時給上昇だけでなく、賞与を支給したり、正社員化したりする動きも出てきた。
「(午後)9時半がラストオーダーです。入り口を閉めるので、裏口からお帰りください」。東京都心にある牛丼チェーン店「すき家」の店員は、食事中の客にこう告げた。通常24時間営業だが、3月下旬から午前9時~午後10時に短縮した。アルバイトが辞め、店を回せなくなった。別の店では、バイト募集のポスターの深夜時給1325円という印刷文字の上に、手書きで1375円と記されていた。
都内のすき家で働く複数のアルバイト店員は「大学生のバイトが辞めて人が集まらない」「朝まで1人なので仕事はきつい」と口にする。2月以降、約250店が一時休業や短縮営業に追い込まれた。牛丼大手3社の中で最後発のすき家は、急ピッチの出店で2008年に吉野家を抜き、業界首位に躍り出た。急成長を支えたのが、深夜に店員1人で接客や調理を担当する「ギリギリの人員」(バイト店員)。メニューの多様化で仕事が増え、営業できなくなるほどの大量退職につながった。
居酒屋チェーン「和民」を運営するワタミも、全体の店舗数の約1割にあたる60店を今年度中に閉鎖、1店当たりの人員を増やし、職場環境改善を進める。長時間労働が常態化しているチェーンもあり、飲食業はもともと敬遠されがちだったが、景気が良くなり他業種でもバイトの条件が改善した。「バイトに対する教育が不十分で、やる気、やりがいをうまく引き出せていない」(リクルートワークス研究所の戸田淳仁研究員)ことも要因のようだ。
人手が足りないのは飲食業だけではない。建設業では、復興需要や公共事業の増加で、入札不調や工期の遅れが相次ぐ。運送業界も3月まで「駆け込み需要で配送の依頼が増え、仕事を受けきれなかった」(都内の運送業者)という。
出典
- これからはじめる与信管理 13.危ない会社のチェックリスト - 帝国データバンク
- 危険な会社の見分け方-自分で調査する「企業信用情報」 - 相沢京子調査室
関連項目
- ブラック企業の一覧
- ブラック企業就職偏差値ランキング
- ブラック企業大賞
- 就職詐欺 - 最低賃金
- 過労死 - 過労自殺 - 労働災害 - 3K
- 恵比寿半蔵(ノンフィクション作家)
- 同族経営 - 縁故採用(コネ採用)
- 不当解雇 - 退職強要 - リストラ教育 - 不当労働行為 - 日勤教育
- サービス残業 - 強制労働 - 搾取 - 蛸部屋
- セクシャルハラスメント - パワーハラスメント - モラルハラスメント - いじめ - 虐待
- コーポレートガバナンス - モラル・ハザード - コンプライアンス
- 偽装請負 - 脱税 - 改竄 - でっち上げ
- 暴言 - 侮蔑 - 言葉の暴力 - 民事介入暴力 - 行政対象暴力
- マルチ商法 - 悪徳商法 - 組織犯罪 - 企業犯罪 - 利益至上主義
- 暴力団 - 企業舎弟(フロント企業)
- 経団連
- 日本会議
- 天下り
- ストローマン
- クラッシャー上司
参考文献
- 恵比須半蔵 『就職先はブラック企業―20人のサラリーマン残酷物語』 彩図社 2008年 ISBN 978-4883926718
- 恵比須半蔵 『ブラック企業の真実』 彩図社 2009年 ISBN 978-4883926817
外部リンク
- 「声を上げれば大企業の違法正せる」/この一年 サービス残業是正へ大きな前進/労働者、家族が切り開いた成果(しんぶん赤旗 是正勧告を受けた大手企業名が記載されている また赤旗では反思想差別訴訟が度々採り上げられている)
- 是正勧告違反事例村岡社会保険労務士事務所
- 過労死110番全国ネットワーク
- 『長時間労働酷書』を発行している日本労働弁護団
- “ブラック企業”従業員の告白
- 就職活動と会社情報 - 口コミ会社情報、就職ブラックリスト企業
- 転職会議 - 企業口コミ情報
最後に
運悪くブラック企業に就職した人は、労働基準監督署に駆け込め。
- ↑ 「社員のスキルが低い」「社員になっても必要なスキルが身に付かない」と業界内で見なされている為、その会社に勤務した履歴が転職活動のデメリットにしかならない為に履歴書に書かない、あるいは、地元地域で評判の悪い企業である為、地元での再就職を希望する場合には履歴書に書くに書けない、というケースも見られる。